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 昨日、メインストーリーを15章くらいまで進めて得たジェムで、例のバレンタインガチャを引いたところ……。


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 なんと、SSR確定一個前の奴でスカーレット華団の蒼葉さんが当たりました。


 実際彼女の個人エピソードなんかも見たんですが、彼女の口の悪さはある意味子供っぽく見られることに対する反発もあんのかなぁ、とか思ったり。


 因みにSSR確定ガチャの方はと言うと……。


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 はい、またしても和果さんでしたとさ(苦笑)。

 まあせっかくなので、さっそく前の分の覚醒に使いましたが……。


 さて、本文の方は『呪いのトミカ』の続きで行きます。

 ではスタート!


 朝方、目が覚めたら、家の布団で寝ていたという事になってほしい、今までのは夢だったことになってほしい……。そう思いながら、大介は目を開けた。しかし、夢ではなかった。大介とタカ子は後ろ手に縛られて、その綱の先は木本の腰に結ばれていた。日はすでに高く昇っていた。
 ほんの何時間か前、一行は乾いた場所を探して横になったのである。木本はすでに目を覚ましていて、タバコを吸いながらトランジスタラジオを聞いていた。
 <昨日、午前九時半ごろ、二人の小学生が家を出たまま行方不明になっています。二人の小学生は道北市瑞穂町西四号の林野庁職員、牧原健治さんの次女、道北市立第三小学校四年生牧原タカ子さんと、東京から夏休みを利用して遊びに来ていた親類の、同じく小学校四年生谷田大介君で、二人は昨日午前九時半ごろ、家を出たまま行方が知れなくなったもので、夜八時過ぎても戻らないため……>
 木本は大介がラジオを聞いているのに気が付いて、ふんと鼻先で笑うと、ラジオの音を小さくして耳へ持って行った。しばらくすると、木本はラジオのスイッチを切った。
「気の毒によ、てんで見当違いの所を探してるぜ」
 そう言うと、木本はタバコを投げ捨て、足で踏んだ。
「どうして、おじさん達はおれ達をこんな目に遭わせるんだい?」
「何言ってんだ。こっちは始めから、おめえ達を巻き込むつもりはなかったんだ。勝手に首を突っ込んできて、でけえ面するんじゃねえよ。何せオレたちは……」
「木本!」
 ムラさんの声だった。
 ムラさんはみんなから、いくらか離れていた所に寝ていた。
「何だ、目を覚ましていたのか」
 木本が慌てて言った。
「あんまりでかい声でわめき立てるからだよ。聞かれもしないのに、こっちから余計な事を言う事は無いぞ」
「ああ。どうだ、気分は?」
「良くねえ、熱が出てきやがって、やけに寒気がしやがる」
「そうか、そいつは困ったな。でも、今日の夕方には死魔谷へ出るぜ。さっきのニュースじゃ、オレ達がこっちへ向かった事はまだ分かってないが、そうそうのんびりしているわけにゃいかないぜ」
「そうか」
 ムラさんは立ち上がったが、よろめいて膝をつき、苦しそうに唸った。
「どうした!」
 木本が慌ててムラさんの方へ駆け寄ろうとした。そのはずみで、大介とタカ子は激しく引きずられ、悲鳴を上げた。木本が二人を縛ったロープを、腰に巻き付けたままにしていたからである。
「ええい、くそっ!」
 木本はロープをほどくと地面に叩きつけて、ムラさんの所へ飛んで行った。
 大介はタカ子と目を合わせた。
(逃げるなら今だ)
 木本はムラさんに気をとられている。急に様子のおかしくなったムラさんを放り出して、追いかけてくる事は無いだろう。それに、十メートルほど先に、かなり深い藪がある。飛びこんで息を殺していたら、何とかなるかも知れない。と言うのは、どうやら木本たちは先を急いでいるらしいから、それほど熱心に探すことも無いと思ったのだ。
(そこの藪へ飛びこむんだ)
(いいわ)
 目で合図をした二人は、同時に地面を蹴って飛び出したが、同時に悲鳴を上げて引き戻されるようにしてひっくり返った。なんと、二人を縛ったロープは、結ばれて一本になっており、それが古い根かぶに引っかかったのである。
「おい、立て!」
 木本が大介の頭を蹴った。
「ち、違うんです。け、けつまずいて、こ、転げ落ちたんです!」
 大介は必死で言い訳をした。
「ばかやろ、そんな事でオレの目がくらませると思ったら、大間違いだぞ!」
 木本が大介の頬を殴った。いったん起き上がっていた大介は、また地面に叩きつけられた。
 大介の目から、悔し涙が溢れた。大介は生まれてから、まだこんな酷い目に遭わされたことは無かった。友達と殴り合いの喧嘩をした事はあった。だが、手出しが出来ないようにして殴るなんて、酷すぎると思った。
「木本!」
 またムラさんの声である。木本はロープをそばの立ち木に結ぶと、ムラさんの方へ近づいて行った。
 タカ子が恨めしそうに大介の方を見た。大介はそっと小声で言った。
「ごめんよ。……さっき、ニュースでおれ達のことを言ってたぞ」
「聞いたわ」
「知ってたのか?」
「そうよ、あんたが目を覚ます前から聞いてたわ、寝たふりをして。その前のニュースでね、あの人たちのことを言ってたわ。あの人たち、刑務所から逃げ出したのよ。護送の途中の交通事故の時、警官に重傷を負わせて……木本に……もう一人は村上っていうのよ」
 二人がひそひそやっている間、ムラさんと呼ばれていた村上が、激しく痙攣するみたいに震えて、吐いていた。木本が村上の背中をなでていた。村上は血の気が無くなって、真っ白な顔をしていた。
「さて、急がなくちゃ」
 木本は誰にともなく言った。



 今度はかなりの強行軍だった。今までボール箱一つだったのに、タカ子はボール箱二つ抱えることになった。そして、大介が村上を支えて歩くことになった。
 大人を支えて歩くのは、楽ではなかった。大介は何度もよろめいた。けれども、その度に力を入れて踏ん張った。村上は、酷く荒い息をして、その息は生臭く、嫌な臭いだった。大介の肩に置かれている手は冷たく、それが大介の目や頬に当たるたびに、冷たい汗でぬるりとしていた。
「おじさん、怪我したの?」
「…………」
「ほんとは、病院へ行った方がいいんじゃないの?」
「…………」
「おじさん達が宝って言ってたの、アイヌの宝物の事?」
「…………」
「その話なら、ぼくも聞いたんだよ。七十年ぐらい前に、土方の人が見つけたんだってね」
 それまでとろんとして、どこを見ているか分からなかった村上の目が、きっとなって大介の方を見た。
「オイナカムイの宝とか、ツキノエの宝って言うんだってね。でも、林野庁の中井さんと言うお兄さんの話では、ハフカセの宝じゃないかって言ってたよ」
「うん、その内のどれかだな」
 村上が初めて口をきいた。
 途端によろけて、村上は大介の上へかぶさるようにして倒れた。
「ばかやろ! 何やってんだ!」
 かなり先を歩いていた木本が大声で怒鳴ると、戻ってきて、村上を抱き起した。村上は唇の色を白くさせていて、気を失っていた。
「やい、ムラさんにもしものことがあったら、てめえ、生かしておかないからな」
 木本は大介をにらみつけて怒鳴った。大介は慌てて起き上がりながら、ちらりとタカ子の方を見た。
(逃げるんなら、今の内だぞ!)
 それなのに、タカ子は逃げるどころか、反対に、箱を置いてこちらの方へ戻って来るのだった。
(おい、何で逃げないんだよ)
 と目で言うと、タカ子は何も言わず、まるで小ばかにしたような嫌な目つきで大介を見た。
(一体、どうなってるんだ)
 いよいよ村上の様子が酷いらしく、木本は村上を背負うことにした。木本は大介に自分の担いでいたリュックを背負わせた。大介は前にのめりそうになりながら、坂道を下った。
 それでも木本や村上たちよりも、いくらか先に歩け、タカ子と並んだ。
「どうして、さっき逃げなかったんだ」
「あれを見てよ!」
 タカ子はそばの木を指さした。太い幹に、鋭い刃物で引っ掻いたような傷が幾筋もついていた。
「あれはね、熊が自分たちの縄張りを示す印なのよ。それにさっき、熊のうんちゃんを見たわ。すごいうんちゃん!」
 本当なら、こんな臭い話なんて馬鹿馬鹿しくて真面目に出来やしない。けれども、今は馬鹿馬鹿しいどころか、とてつもなく恐ろしかった。
「あの村上っていう人、逃げる時、肩を撃たれたんですって。ラジオで言ってたわ」
「ふうん」
「おい、おめえら!」
 木本が声をかけた。
「でけえ声で歌を歌え。歌を!」
 大介とタカ子は顔を見合わせた。木本の言い方がふざけているのか、どうか分からなかったからだ。
「やたら熊のクソが目立つ。一生懸命熊に聞こえるように大きい声で歌え。さもないと、熊が寄って来るぞ!」
 木本がちょっと厳しい顔で言った。大介は歌を歌うために、大きく息を吸い込んだ。けれども、いざ歌うとなると、何を歌ってよいものやら見当がつかなかった。
「早く歌え!」
「はいっ!」


 ドレミッチャン ミミダレ 目ハヤンメ
 アタマノマン中ニ ハゲガアルーッ!


 気が付いたら大介は、大真面目にとんでもない歌を歌い出していた。いや、もっとおかしなことは、タカ子まで、大真面目に合唱していた事だった。




~つづく~

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