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 こんにちは、アカサカです。


『デタリキ』、今日から始まるイベント任務でラファムの新コ・ス・プレが実装されるようで。

 この気にレイヴェルやリグラスのRコ・ス・プレとかも併せて実装されたら有難いんですけどねぇ(レインさんやエミット様は前々回の奴で実装済み)。


 さて、今回は『呪いのトミカ』です。

 いよいよ今回から本編開始です。


 では、さっそくスタート!


「さ、涼しい内に勉強してしまいなさいね」
 そう言って、おばさんは家を出ていった。土曜日なので、午前中に郵便局と銀行へ行かなければならないので急いでいた。大介とタカ子は座敷のテーブルで、向かい合って座って教科書を広げた。タカ子は大介のいとこで、大介と同じ四年生である。
 教科書を広げたものの、大介はぼんやりとタカ子の顔を見ていた。
「何よ、気持ち悪いわね。あたしの顔になんかついてる?」
「えっ? いや」
 大介は慌てて教科書へ目を落としたが、もちろん教科書の字など見ていなかった。大介は中井さんから聞いたアイヌの宝の事を考えていたのである。
「ダイコウ! 宝物の事を考えているんだろう」
「えっ」
 大介は驚いて、タカ子を見た。
「へへ……。どう? 当たったでしょう」
「う……」
「それからダイコウ、うちへ帰りたくないなんて言わないでよ。今度はあたしがダイコウのうちに行く番なんだから。へへへ、タカ子は何でも知ってるんだ」
「あ! おれの日記見たな!」
「ふふふ。それから、書いてないことがあったから、書いておいてあげたわよ」
「な、なんだと!」
 大介は慌てて、鞄から日記帳を引っ張り出してパラパラとめくった。あるある! いつの間にか、あちこちに書き込みがあった。
 <外から帰った僕は、間違えて隣の内の便所へ飛びこみ、ついでにテーブルの上にあったトウキビ(トウモロコシ)まで食べてしまった>
 確かにそういう事件はあった。いくつも似たような官舎の建物が並んでいたので、そそっかしい大介は間違えたのだ。
 <デパートで迷子になって泣きました>
 悔しいけれど、これも本当だ。やっぱり、知らない町で迷子になるのは心細い。
 まったく、嫌な事ばかり書き足してある。さすがに大介は頭に来た。色が白くて、目が大きくて、確かに可愛いタカ子だったが、この時ばかりは物凄く憎らしかった。
「やりやがったな!」
「キャーッ!」
 タカ子は派手な悲鳴を上げて逃げ出した。大介は追いかけた。
「二人とも、いい加減にしてよ!」
 タカ子の姉さんで、女子美術大学へ行っている礼子姉さんが怒鳴った。
 礼子姉さんは東京の大介の家から大学へ通っていた。だから大介が北海道へ来たのも、礼子姉さんが連れてきてくれたのである。
 だが、その隙にタカ子は靴を履くと、外へ逃げだしていた。大介としては、何とも悔しくて、我慢がならなかった。そこで、大介も靴を履いて、外へ出た。外でなら、少々取っ組み合いのけんかをしたって礼子姉さんに怒鳴られる心配はない。
(あいつ、自分のうちだから、でっかい面してるんだ。ぎゅうっていう目に遭わせてやるからな!)
 ところが、外へ出て見ると、タカ子の姿が無かった。
「おかしいなあ……」
 大介はバス道路の角を曲がった。と、そこにほろをかけた小型トラックが停まっていた。大介がその横を通り抜けようとした時、なにやらうめき声のようなものが聞こえた。
「あれ?」
 不思議に思った大介はトラックの後ろへ回って、ほろを開けて覗き込んだ。とたんに、頭の後ろに突き刺さるような鋭い痛みを感じて、何が何だか訳が分からなくなってしまった。



 何とも言えず、暑苦しかった。息をするのも苦しかった。そのうえ、身体の自由が利かなかった。そのために、身体全体が何か硬い物に、どうん、どうんと叩きつけられているのを防げなかった。
 気が付いたら、大介は後ろ手にぎっちり縛られ、固くさるぐつわをかまされていた。両足も硬く縛られていた。
 ほろをかけた狭いトラックの荷台の上に乗せられていたのである。その大介の前に懐かしい顔があった。汗と涙と埃で、見る影もないタカ子の顔であった。タカ子もまた、大介と同じように両手両足を縛られ、さるぐつわをかまされていた。それと、もう一人見知らぬ男が乗っていた。トラックの荷台は、ほろのせいで薄暗かったが、男は大介の学校の受け持ちの田村先生ぐらいの年に見えた。だから三十二、三かも知れない。男は酷く顔色が悪く、目がくぼんでいた。時々、疲れたように目を閉じるが、すぐに目を開けて、大介とタカ子をかわるがわる見た。男の着ている海老茶のスポーツシャツは、汗で黒くなっていたが、その左肩の辺りはどす黒くなっていた。
 大介はそっと体を起こしたが、トラックが跳ね上がったはずみで、また、嫌と言うほど床へ叩きつけられた。男はタオルで額の汗をぬぐうと、タオルを首に巻き、床に置いてあった黒い物を拾い上げた。ピストルであった。
(一体、こりゃどうなってるんだ)
 大介は聞いてみたかったが、口の中へ何やら押し込まれて、その上からさるぐつわをかまされているので、声も出せなかった。
(とにかく、おれ達はさらわれたらしい。でも、何でさらわれたんだろう?)
 もちろん、金が目当てとは思えなかった。大介の父は広告会社に勤めているサラリーマンだし、タカ子の父にしても公務員だ。何百万円(現在で一千万~一千五百万円前後)の身代金を出せと言われても、出る家じゃない。
 目の前にいるタカ子と話をしたくても、出来ない。タカ子は泣き疲れたと見えて、大介の方を見ようともせずに、ぼんやりと床を眺めていて、ときどき肩をひくっと震わせた。
(何とかしなくちゃ。これはテレビのドラマなんかじゃないんだからな)
 大介はそう思ったが、今は何一つできなかった。しかも、トラックは舗装していない砂利道をかなりのスピードで走っているらしく、ときどき酷い音をさせて弾んだ。その度に、大介は嫌と言うほど尻を打ったり横にひっくり返ったりした。勿論、大介ばかりではなく、タカ子も同じようにひっくり返った。そうして、もう一人のみ知らぬ男は顔をしかめ、うめき声をあげた。
「おい! 木本! 静かにやれよ」
 男はシートの覗き穴から、運転台を覗き込んで怒鳴った。
「分かってる!」
 若い男の声が戻ってきた。
(なんだかよく分からないけど、元はと言えば、これはタカッペが良くないんだ。タカッペの奴が、おれの日記に余計な事を書いたりしやがったからだ。……そうだ、おれがトラックのシートの中を覗き込んだ時、きっとタカッペは捕まってたんだな。こいつらはピストルなんか持ってるけど、おれ達をどうするつもりなのかなあ)
 トラックは山道に差し掛かったらしく、ぶるぶると酷いエンジン音をさせて、大きく傾いた。それからどれぐらい走ったか、ギイーッというブレーキの音と一緒に、トラックは止まった。
「おい、これから先はテクだな」
 今度は運転席の方から声がした。
「外へ出て、大丈夫か?」
「ああ」
 辺りはひっそりとしていた。どこか遠くで、カッコウの鳴く声がしていた。
 運転席のドアが開く音がして、足音がトラックの横を回り、後ろへ行ったかと思うと、急に明るくなった。さっき木本と呼ばれた男が、シートをはぐったのである。大介たちと一緒にいた男が、身体をかがめながら出ていった。
「大丈夫か、ムラさん」
「あんまり大丈夫じゃねえ」
「そんな心細い事言うな」
「ガキ共はどうする?」
 二人の話を聞きながら、大介は身体を固くして、タカ子の方を見た。タカ子も不安そうに大きな目で、大介の方を見た。
「何だったら、ここで始末してもいいけどな」
 そう言って大介たちの方を見た木本の目つきは、ぞっとするほど嫌なものだった。
 大介は、これは狂犬の目じゃないかと思った。大介の心臓は、破裂しそうなほど激しい音を立てていた。
「そいつはやめた方がいい」
 ムラさんと呼ばれた年かさの男が止めた。
「だけど、オレたちはまともに顔を見られているんだぜ」
「見たのはこいつらだけじゃねえ。あの相川とかいう食料品屋のババアだって見てたはずだぞ。第一、看守が見てるじゃねえか。無理する事は無かったんだ」
「そんな事言ったって、あと八年もくらいこんでいてみろ。あちこち開けて、肝心のアイヌの宝もんは、どこかの土方が見つけてしまうかもしれねえじゃねえか」
 大介ははっとしてタカ子を見た。タカ子も頷いた。
(とんでもない所で、宝物の話を聞くなあ。もう少し、何とかなっている所で聞かせてもらいたかったなあ)
 大介はそう思った。
 その内に、男たちの間で、何やらひそひそ話が続いていたが、いきなりシートが閉められ、荷台の上はまた、真っ暗になってしまった。男たちは運転台から何かを引きずり出し、「よいしょ!」と掛け声を上げて担ぎ上げた。男たちの足音はそのまま遠ざかっていった。




~つづく~


 ……そう言えば、今、倉麻さんがブログで書かれてる『自作小説総ツッコミシリーズ』も、形はちょっと違いますが「メインキャラが犯罪者にさらわれる」って展開を扱ってましたね(笑)。


 と言ったところで、今日はこの辺で。

 どうも。ではでは。

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