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 今日は『テレビ雑誌コーナー』です。


 さて、記事の方はこれまた十日ぶりに『ほら男爵』で行こうと思います。

 では、スタート!


 諸君は、キャプテン・フィップスの北国探検旅行の事をお聞きになったことがあるだろう。その時、吾輩もキャプテンのお供をした。
 我々がかなり北方に進んだ頃、吾輩は獲物を探して望遠鏡であちこちを見回した。
 すると、いたいた。行く手、およそ八百メートルの所に浮いている高い氷山の上で、二匹の白熊が組討ちして遊んでいるではないか。吾輩は直ちに銃を抱えて、その氷山に登り始めた。鏡のようなつるつる道を一歩一歩踏みしめて、やっと天辺にたどり着いた。
 そんな事は知らずに、白熊たちは、盛んにふざけていた。吾輩は、しばらくは奴らの毛皮の美しさに見とれていたが、時は良しと、銃の狙いを定め、今まさに引き金を引こうとした瞬間、なんと不覚にも足を滑らせて、あおむけにひっくり返ったばかりか、硬い氷に頭をぶっつけて気を失ってしまった。
 しばらくして、やっと気が付くと、なんとたまげた事に先ほどの白熊の一匹が、吾輩のズボンのベルトに手をかけて引きずって行こうとしているではないか。
 吾輩は素早くポケットからナイフを取り出すと、奴の後ろ脚の指を三本切り落とした。途端に、


 ウォーッ!


 白熊め、恐ろしい唸り声を立てて足を引き引き逃げ出した。もうこっちのものだ。吾輩は、ズドンと一発、白熊を倒して、
(ざまを見ろ)
 と胸がすっとしたが、まさかこの一発の銃声が八百メートル四方の氷山に眠っていた何千と言う白熊を起こしてしまおうとは思いもよらなかった。そいつらは仲間の仇とばかり、猛然と雪を蹴立てて走って来る。
 ひと時もぐずぐずしてはいられない。吾輩は咄嗟に倒れている白熊の毛皮を剥いで、その中に身体を隠した。つまり、白熊に化けたのである。
 そこへ、白熊の大群がやって来た。だが死んだと思った仲間が、生きて立っているので、みんな怪訝な顔をした。だが、まだ疑い深く匂いをかがれた時は、さすがの吾輩も生きた気がしなかった。だから、
「やあ、元気で良かったね」
 と言うように、親方らしい白熊に肩を叩かれた時の嬉しさときたら……。
 我々は、すぐ仲良しになった。吾輩は、白熊の仕草を眺めて真似をした。吠えたり唸ったりすることは苦手だった。それにいつまでも熊と遊んでいる訳にもいかない。
 すると白熊たちは、あちこちで組打ちをおっぱじめた。吾輩にも、一匹が、
「さあ、来い」
 とばかりに大手を広げた。
 しめた。これこそ、こっちの思うつぼだ。吾輩は、熊に組み付くと見せかけて、隠し持った右手のナイフで両肩の間、つまり首筋を突き刺した。そいつが呆気なく、ころりと倒れると、
「じゃ、オレが相手だ」
 と、また次の熊が向かってくる。こいつもナイフでまた、ころり。吾輩は、この方法で次から次へと白熊を仕留めた。
 さて、足の踏み場もないような白熊の死体を乗り越えて船に戻った吾輩は、乗組員を総動員して白熊の皮をはぎ、もも肉を船に運び込んだ。
 そして、不思議にイギリスに帰ってきたのだが、航海の途中、毛皮と肉の重みで船が沈没しそうになって困った。
 おかげで吾輩の名声はイギリス中に鳴り響いたが、気の毒なのはキャプテンだった。誰も相手にしてくれないので、吾輩を逆恨みして、なんだかんだとケチを付けようとした。中でも、
「ミュンヒハウゼン君が熊の皮をかぶって熊を騙したのは感心できない。私なら、そんな変装などしないで熊の群れに入って行き、それでいて、自分を熊だと思わせることが出来たのに」
 と言ったのには吹き出した。
 なるほど、キャプテンの髭だらけのご面相なら……。いや、やめよう。騎士たるものは、みだりに他人の悪口を言うべきでない。




~つづく~

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