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 今晩は、アカサカです。

 今日からはペルシャ民話の中編、『真珠姫の涙』をお送りしたいと思います。


 では、さっそくスタート!


真珠姫の涙



 むかし、ペルシャの国に、一人の王様がいました。
 王様には、三人の美しいお姫様がいました。上のお姫様は二十五歳、中のお姫様は二十歳、末のお姫様は十六歳でした。
 王様は、
(三人の姫は、もう結婚をする年ごろ……。よし、では、さっそくにも、姫たちの結婚の相手を決める事にしよう……)
 と考えました。
 王様は、どんな方法でお姫様たちの結婚の相手を選んだらよいだろうか、と考えました。
(そうだ、弓を使って決める事にしよう!)
 王様は、弓と三本の矢を用意してから、お姫様たちを呼びました。
「わしは今、そなたたちを結婚させることに決めたぞ。それで、その相手を選ぶ方法だが、ここに三本の矢がある。これを、自分の好きな方に向かって射るがよいそして、この矢の落ちた場所にいる人を、結婚の相手に決めるのじゃ。良いな」
「はい、分かりました、お父様」
 上と中のお姫様は、すぐに承知しました。
「そなたはどうだな?」
 王様は、黙って下を向いている末のお姫様に聞きました。
「はい、お父様。私は、しばらく考えさせて頂きとう御座います」
 末のお姫様は、困ったような顔で言いました。
「ほう、何故だな?」
「はい、一生の間一緒に暮らす夫を決めるのに、そのような乱暴な決め方では……」
「なに、乱暴な決め方だと? 上の二人の姫が賛成するのに、末のそなたがそのような理屈を言うとは……」
 王様は、急に怒った顔になりました。
「そうですわ。お父様、三人のうち、二人が賛成なのですから、そうお決めください」
「そうですね。そうお決めください」
 上の二人のお姫様が言いました。
「よし、三人のうち、二人が賛成なのだから、そう決める事にするぞ。これは、わしの命令だ。良いな!」
 王様は言いました。
「はい、ご命令では致し方御座いません。お言葉通りに致します」
 末のお姫様は、しぶしぶ承知しました。
「では、上の姫から順に、好きな方に向かって矢を放つがよい」
 王様は、三人のお姫様に、一本ずつ矢を渡しました。
 上のお姫様は、北の方に向かって矢を放ちました。その矢は、大臣の息子の館の庭に落ちました。それで、その人が結婚の相手と決まりました。
 中のお姫様は、西の方に向かって矢を放ちました。その矢は、大僧正の息子の館の庭に落ちました。それで、その人が結婚の相手と決まりました。
 けれども、実は上のお姫様と中のお姫様は、前からその人たちが好きだったのです。ですから、好きな人の庭に落ちるように狙って、矢を放ったのです。
 さて、末のお姫様には、まだ好きな人がいませんでした。しばらく考えたお姫様は、東の方に向かて矢を放ちました。その矢は、山の中の、貧しい木こりの小屋に落ちてしまいました。
 王様は慌てました。いくらなんでも、王の姫を、貧しい木こりの妻になどできません。
「今のは間違いだ。もう一度やり直しなさい!」
 王様は、もう一本の矢を末のお姫様に渡そうとしました。
「いえ、それはいけません。たとえどこに落ちましょうとも、約束は約束です。わたくしは、木こりの妻になります」
 末のお姫様は、きっぱりと言いました。
「いや、もう一度、やり直しなさい!」
「いえ、やり直しません!」
「この強情者っ、勝手にせい!」
 王様は、すっかり怒ってしまいました。
 こうして、三人のお姫様の内、末のお姫様だけは、次女も釣れず、たった一人で山の中に行き、貧しい木こりの妻になりました。
 それから一年が過ぎて、貧しい木こりとお姫様だった妻の間に、女の赤ちゃんが生まれました。
「かわいそうに、こんな貧しい家に生まれてくるなんて」
 お姫様だった母は、自分の小さい時と比べて、この赤ちゃんが可哀想でなりませんでした。でも、これも人の世の定めなんでしょうから……と諦めて、夫と赤ちゃんのために、毎日かいがいしく働いていました。
 ある夜の事、この貧しい木こりの家に、どこからともなく、三人の仙女が現れました。
 仙女たちは、すやすやと眠っている赤ちゃんの顔を、長い間見つめてから、
「この子を“真珠姫”という名前にします。そして、この子が泣けば、涙の代わりに真珠の玉がこぼれますように」
 と、一人の仙女が、赤単の頭を軽くなでながら言いました。
 続いて、次の仙女も、赤ちゃんの頭をなでながら、
「この子が笑う時には、美しいバラの花が咲きますように」
 そして、三番目の仙女は、
「この子が歩くところに、緑の美しい草が生えますように」
 と言って、三人の仙女は、すっと消え去りました。




~つづく~

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