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 今回は、小説版『ファイクエII』の続きといきます。

 次回で最終回(最終章)の突入になるかな……?


 なお、前回はコチラ


 では、本文スタート!


 クレイ・タンクとガダメ、アーセンは地下通路を進んでいた。
 その間、サクラたちはマージュII世から制御装置について色々と聞き出していた。
「それじゃあ、その制御装置を逆転させればナイトキラーのエネルギーを吸い取ることが出来るかも知れないのですね」
「そうだ。そのうえ、トゥエクラニフの巨大爆弾も停止するはずだ」
「すべては制御装置をどうするかにかかっているわけですから……」
 オータムがサクラ達の方を向いて言った。
「こうなったら、何が何でも止めるしかないわね、その制御装置とやらを!」
 その時、サクラが気づいて叫んだ。
「クレイさん、前っ!」
「えっ……どわぁっ!」
 クレイもまた前方を見て驚愕する。
 彼の進路上に巨大なドリルが数本現れ、そのままこちらに向けて発射されたのだ。
「あかん、よけきれへんっ!」
 もちろん、粘土で身体が出来ているクレイなら、ドリルをまともに喰らったところで平気だろう。
 だが、中に乗っているサクラ達が無事で済むはずはない。
 しかし、ドリルに気づいたのはサクラだけではなかった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
 横にいたガダメが爪を構えて突進する。
 大上段から爪を振り下ろし、飛んできたドリルの先端を叩き落した。
「ガダメはん、ナイスや!」
「ふう、第一関門突破だな……」
 額の汗をぬぐいながら、ガダメが呟いた。
 一行はさらに先を急ぐ。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


 前方で不気味な地響きが起こった。
「ん!?」
 一同の視界に映ったものは――
「げっ! 巨大岩石!」
 前から、直径十メートルはあろうかと言う巨岩が、数十個単位で転がって来るのだ。
「バック! バック!」
 クレイは慌てて車輪をバックに入れる。
 車輪が逆回転し、クレイ・タンクは猛然と後方に下がっていく。
 ガダメとアーセンも、また背後へと跳躍した。
 だが、彼らが着地した場所の床がいきなり消えてなくなった。
「なにいっ!?」
 同じ場所まで下がってきたクレイ・タンク共々、彼らはその穴に落下していった。
 下はまさに奈落で底は見えない。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 一同がパニックになっている中、冷静なのがアーセンとサクラであった。


 ソル・モー・ベール・ズ!
(羽よりも軽くならん)


「飛翔呪文・フライヤー!」
 フワリとアーセンの身体が宙を舞い、ガダメの身体を受け止める。
 そしてサクラの方も、
「えいっ!」
 そのしなやかな指で、クレイ・タンクの運転席のボタンを押した。


 シュダッ!


 クレイ・タンクの砲塔からワイヤー付きのパンチが発射され、がっしりと穴の淵をつかんだ。
 車体がガクンと振動して、クレイ・タンクが停止した。横に、ガダメを抱えたアーセンが静止する。
「ふぇ~……」
 彼らをかすめて、岩は奈落に落ちて行った。
「第二関門突破」
 オータムとセルペンは顔を見合わせてほっと一息ついた。
 だが、ブービートラップはまだまだ始まったばかりであった。


 それから十数分後。
「第一三五関門突破……」
 まさに秒単位で襲って来るトラップに、さすがの一同もゲンナリしていた。
 心強いのはサクラ達が、いまだ冷静だという事のみである。
「来ました!」
 突然、天井が落ちてくる。
 ご丁寧にも一面するどいトゲを突き出して。
 クレイ・タンクの砲塔とアーセンの極大呪文がほとんど同時に火を噴いた。
 両者の猛射により、ボロボロにひびが入った吊り天井を、ガダメの爪の一撃が粉砕した。
「第一三六関門突破!」
「あともう少しで制御室だぞ!」
 マージュII世が興奮して叫んだ。
「もう制御室までトラップは無いのでしょうな!」
 うんざりした口調のガダメの問いかけに、マージュII世が首を振った。
「いや、まだあと強烈なのが数百……」
「あのなー……」
 何か言い返そうとするガダメをさえぎって、アーセンがまくしたてる。
「ガダメ、ガダメ! 前方に、変な、黒い、霧が、立ち込めて、います!」
「霧!?」
 次の瞬間、クレイ・タンクでこの世の物とは思えない悲鳴が起こった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 サクラ達が三人して抱き合って震えている。
「どうした!?」
「あ、あの霧、よく見てですぅ!」
「あん!?」
「ゴ、ゴ、ゴ、ゴキブリですぅっ!」
「なに!?」
 よく見ると、確かにその黒い霧はゴキブリの大群であった。
 あまりの数に、霧に見えたのである。
「わた、わた、私も、ゴキブリだけは苦手です!」
 さすがのサクラも、これには冷静さを失っていた。
「バカッ、よく見ろ! あれは、全部ゴーレムだぞ!」
「へっ!?」
 ガダメの言う通り、ゴキブリの大群ではなく、ゴキブリの形をした小型ゴーレムの大群であった。
 クレイ・タンクのブリッジでマージュII世が説明する。
「あのゴキブリ型小型ゴーレムは隙間を見つけると侵入して内部から破壊する恐るべき防御モンスターなのだよ。あいつを一体でも侵入させてはならん!」
「ど、どうすんのよ!? あんな細かいのどうやって?」
「こうするのです!」
 叫ぶや否や、アーセンが飛び出した。
「アーセン!?」


 ヴェルク・ゼルク・ヴェイ・ザー・ラッ・デン!
(風の神よ、その息吹で全てをなぎ倒せ!)


「極大真空呪文・タイフーン!」
 アーセンの両腕から、巨大な二つの竜巻が放たれて交差する。
 ゴキブリゴーレムはその竜巻の中に吸い込まれるように突っ込んでいった。
 瞬く間にバラバラになって辺りに飛び散る。
「やるなぁ、アーセンはん」
「ざっと、こんな、ものです!」
 ゴキブリゴーレムは一体残らず破壊されて、床に転がった。
 いや、たった一体……。
「ぎょぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
 クレイ・タンクで再び悲鳴が上がる。
 カサカサカサ……と小さい真っ黒な侵入者がブリッジの中を駆け回る。
「で、出たぁ~……」
 迫ってきたゴキブリゴーレムからオータムとセルペンが転がるように逃げ出す。
 だが、そのゴキブリゴーレムを横から無造作に突き出された腕が捕らえた。
「えっ!?」
 サクラである。
「エヘヘヘ……本物じゃないなら、何も怖い事はありません」
「あ、あんた、よく平気ねぇ……」
「ちょうどいい研究材料です。それにしても、よくできてますね。外側だってこんなに柔らかい」
 その言葉にピクリとマージュII世の眉が動く。
「柔らかい!? そんなはずは……」
「でも、だって……」
「まさか!?」


 キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!


 次の瞬間、サクラの悲鳴が超音波となって辺りに響き渡った。
 サクラはその場で泡を吹いて気絶してしまっている。
 ゴキブリゴーレムだと思ったそれは、本物だったのである。



 石九小の校庭では、石川たちがナイトキラーの猛攻に耐えていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 ナイトキラーはその巨体を利用して、三人をまさにゴキブリ扱いしていたのである。
「うわぁぁぁぁっ!」
 ナイトキラーが振り回した腕の一撃が、岡野を直撃する。
 岡野は地面にしたたかに叩き付けられた。
「岡ちゃん!」
 慌てて上田が駆け寄り、ヒーレストの呪文をかける。
 だが、そんな上田の息も荒い。
 連続して呪文を使ったため、魔法力を大きく失っているのだ。
「ふはははははははははっ! どうだ、勇者ども! 地下に向かった連中も到底、制御室にはたどり着けまい。どうせ貴様らは皆死ぬ運命なのだ!」
「く、くそう……」
 ブレイブセイバーを構えて、石川がナイトキラーをにらみつける。
 だが、それ以上の事は、今の彼らには出来なかった。




~つづく~

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