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 今日は『文庫本コーナー』です。


 それからアメブロの方にも、久々に『幻想生物百科』を投稿してきました。


 本文の方は、小説版『ファイクエII』の続きです。

 前回はコチラ


 それでは、本文スタート!


「どうやらここまで来そうだな。ならばせいぜい歓迎してやるとするか。ホホホホホホホホ!」
 不気味な森の出口で、高い崖の上から様子を窺っていた男が笑い声をあげる。
 それは、先ほどマージュII世の背後に控えていた、あの男だ。
 全身をトゲトゲした鎧に身を包み、手には真っ黒な剣と斧を握っている。
 ヘルメットに覆われたその頭部の奥では、メタルゴーレム特有の無機的な瞳が光っていた。


「はあ、はあ……。上ちゃん、もう追いかけて来ない?」
「うん、大丈夫みたい……」
 息を切らせながら、一同は森の出口へと歩いて行く。
「ん、ここは……?」
 森の出口。それは、一面に人骨が敷き詰められた、骨の野原であった。
「ほ、骨だよ! これ全部!」
「マスター、あれを見て下さい!」
 驚く上田に、錫杖が前方を指し示す。
 三人が前方を見ると、空中に人骨が集まっていき、巨大な頭蓋骨が現れたのだ。
「ぎぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
 悲鳴を上げる三人に向かって、頭蓋骨はカチカチと音を鳴らしながら突撃してきた。
「危ない!」
 慌てて伏せる三人の頭上を、頭蓋骨は通り過ぎていく。
 空中で反転した頭蓋骨は、再び石川達へと向かって行った。
「んなろーっ!」
 岡野は拳に気を溜めると、頭蓋骨に向かって放つ。
「昇竜波!」


 ズォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!


 龍の形をした気を受けた頭蓋骨は、バラバラの破片に砕け散る。
 その降り注ぐ破片の向こうに、人影が姿を現した。
「フホホホホホ! 貴様らが勇者の小僧どもだな!」
「おい、どうやら敵さんのお出ましらしいぜ!」
 いち早く気が付いた岡野が、そちらの方を向いて叫んだ。
「んっ!?」
「私はマージュII世様の腹心、四次元ナイト!」
「四次元ナイト!?」
「ヒョーッホッホッホ! 覚悟してもらおう!」
 四次元ナイトは、両手に持つ剣と斧を構えて叫んだ。
 対して岡野も叫び返す。
「ふん! 腹心だか副都心だか知らないが、今やっつけてやるから覚悟しろ!」
「上ちゃん、おれ達も!」
「うん!」
 三人はそれぞれの武器を構えると、四次元ナイトと真っ向から対峙した。
「行くぞ、四次元ナイト!」
 ブレイブセイバーを正面に構え、己を見据える西川に対して、四次元ナイトは余裕の笑みを浮かべる。
「ふっふっふ。慌てるな、私の力を見せてやろう! ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」


 ビュィィィィィィィィィィ……


 四次元ナイトの目が怪しく光ると、周囲の骨の山が揺れ始め、中から先ほどと同じ巨大な頭蓋骨が無数に飛び出してきたのだ。
「なんだ!?」
「二人とも、気を付けて! やっぱりこいつ、今までの敵とは格が違う!」
 額に汗をにじませ、上田も錫杖を握る手に力を込めた。
 岡野の方は、その威圧感をものともせず、拳を構えた。
「へっ、何をグズグズしてんだ! こんなもんコケ落としよ!」
 そのまま頭蓋骨の群れに飛びかかるが、頭蓋骨たちは素早く八方に散り、岡野の拳は空しく宙を舞う。
 間髪入れず、岡野は頭蓋骨の体当たりをまともに受けていた。
「ぐわっ!」
 吹っ飛ばされた岡野は、背中から地面に激突する。
「岡ちゃん! よーし、ならば!」
 石川はブレイブセイバーを収め、素早く印を組む。


 ゼー・レイ・ヒーラ・ヴィッセル!
(閃光よ、閃け!)


「閃光呪文・バーネイ!」
 石川の掌から、頭蓋骨たちに向かって放射状の火炎が発射される。
 だが、頭蓋骨たちは同じように火炎を避けてかわすと、あざ笑うかのようにカタカタと骨を鳴らした。
「じゃあこれならどうだ!」
 今度は上田が素早く呪文を唱え、ボンバーの光球を放った。
 これまでと違い、広範囲を攻撃できるこの呪文であれば、避けようがないはずであった。
 しかし、頭蓋骨たちは寄り集まって、石川達と四次元ナイトとの間に壁のように塞がったのだ。


 ドガドガドガァァァァァァァァァァァァァァン!


 爆煙が晴れると、その向こうから無傷の四次元ナイトが現れる。
 ボンバーの呪文はいくらかの頭蓋骨を砕いたものの、完全に一掃してしまう事は出来なかったのだ。
 全く攻撃を届かせることが出来ない三人を、四次元ナイトはからかうように笑った。
「フオーホホホ! どうした?」
 それを見て、上田が悔しそうに拳を握る。
「くっそー……」
「くそです」
 錫杖も主人と同じように、悔しそうに四次元ナイトを睨みつけた。
「それだけか? ならば今度はこちらから行くぞ!」
 四次元ナイトの声を合図に、先ほどを上回る数の頭蓋骨が、三人に襲い掛かった。
 素早い上に数が多い頭蓋骨たちの攻撃を、石川達は防御するので精いっぱいだ。
 致命傷になる一撃こそ受けていないものの、何度も頭蓋骨の体当たりを受け、徐々に体力を削られていく石川の視界はクラクラと揺れていた。
「う~、頭がグルグルする……」
 そんな石川を叱咤するように、上田が体勢を立て直して叫ぶ。
「テッちゃん、まずあの骸骨を何とかしないと駄目だよ!」
「動きが速すぎるよ! こんな時、ガダメ達が居たら……」
 ガダメを召喚する眼球を握って、石川がうめいた。
「やってみよう、テッちゃん! もしかしたら、ガダメを呼べるかもしれない。このまま戦ってても、やられちゃうだけだよ!」
「よーし……。来てくれ、ガダメ!」
 意を決して、石川は眼球を空中に投げ上げた。


 シュパーン!


「タンガンガ~ン!」
 光と共に、ガダメが石川達のいる空間に姿を現したのだ。
「ガダメ!」
「やった!」
 ガダメの方も、石川達の姿を認めると、嬉しそうに笑みを浮かべた。
「おお、少年たち! 無事だったか!」
 しかし、いつまでも再会を喜んではいられない。
「ふん、生意気な!」
 四次元ナイトは、今度はガダメに向かって頭蓋骨の群れをを放つ。
「むむっ!」
 頭蓋骨に気づいたガダメは、クローを装着すると、飛来してくる頭蓋骨を次々と叩き落していった。
「つあっ! とりゃっ! でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!」


 ドガッ! ズガッ! バキィィィィィィッ!


「テッちゃん、今のうちに!」
「よーし!」
 石川はブレイブセイバーを構え、四次元ナイトへとまっすぐ駆けて行った。
「てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 が、そのまま剣を振り下ろす石川の姿がフッと消えたかと思うと、その格好のまま岡野の眼前へと現れたのだ。
「いっ!?」
 石川は焦るが、その勢いは止まらない。
 ギョッとなった岡野は、慌てて籠手でその刃を受け止めた。周囲に耳障りな金属音が響き渡る。
「こっ、こら! おれを斬ってどうするんだよ!」
「ヒョーホホホ! 驚いたか小僧!」
「一体どうなってるんだ!?」
 何が起きたのか分からない石川に、上田が言った。
「あれはテレポートだよ!」
 どうやら四次元ナイトは名前の通り、次元を歪める能力を持っているらしい。
 骸骨たちを操っているのもその超能力の応用なのだ。
「その通り! 貴様の攻撃など、私の四次元能力で全てかわしてくれる!」
「何を!」
 再び石川が斬りかかるが、今度は骨の山の眼前にテレポートさせられてしまった。
 正面からまともに山に激突し、石川は鼻血を出しながらひっくり返る。
「はにゃ、ほへ……」
「私の力を思い知ったか!?」
 めまいを起こしながらも、上田と岡野に支えられながら、石川はふらふらと立ち上がった。
「くそ、どうしたら……」
「テレポートより速くあいつに攻撃できたら……」
「そうか、メテオザッパーか!」
 反撃の糸口を見つけた三人は、四次元ナイトの方に向き直るが、四次元ナイトの方も鋭い目つきで石川達を見据えていた。
「私の真の力を見せてくれる。ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……!」
 すさまじい圧力が四次元ナイトの身体から放射され、三人の身体にはそれまでの何倍ものGがかかっていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 次元を歪めて相手に通常の何倍もの重力を加える、四次元ナイトの必殺技だ。
 そのすさまじい重力に、地面がひび割れ、石川達の身体も地面にめり込んでいく。
 もう普通に立ってもいられない程だ。もし、トゥエクラニフの強化された身体能力でなければ、三人の身体は、とっくの昔に卵のようにひしゃげてしまっていただろう。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 冷や汗を浮かべながら、三人は必死に高重力に耐えている。
「ここまでだな。でやっ!」
 三人が動けなくなったのを見届けると、四次元ナイトは重力波を解いて、とどめとばかりに手にしていた剣を投げつけた。そのまま重力波を使い続けていれば、彼自身の剣も重力にとらわれて石川達まで届かないからだ。
 だが、とどめのはずのこの一撃は、逆に三人に逆転のチャンスを与えることになった。


 ガキィィィィィィィィィィィィィィン!


 どこからか飛んできたクローに弾き飛ばされ、四次元ナイトの剣が地面に突き刺さる。
 続いて剣を弾き飛ばしたクローも、そのすぐそばの地面に刺さった。
「おや?」
 四次元ナイトがクローが飛んできた方向に目をやると、そこに立っていたのはガダメだった。
 四次元ナイトが石川達に気をとられているすきに、頭蓋骨を全て片付けてきたのだ。
「少年たち! 今の内だ! さ、早く!」
「ガダメ! よ~し!」
 石川の内部に宇宙のイメージが浮かぶ。
「超新星呪文・メテオザッパァァァァァァァァァァァァッ!」


 ズゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!


 石川の右腕から、無数の流れ星のように虹色のエネルギーが飛び出す。
 メテオザッパーのエネルギーは、真っ直ぐに四次元ナイトに向かっていく。
「なんと!」
 避ける事もかなわず、四次元ナイトは正面からメテオザッパーにぶち抜かれる。
「ぐあああああああああああああああああああああああっ!」


 ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!


 次の瞬間、四次元ナイトのボディは大爆発を起こしていた。
「やったやったー!」
 自分たちの勝利に、上田と岡野も、軽くなった身体で飛び跳ねて喜ぶ。
 四次元ナイトが倒されたことで、周囲の空間も、徐々に元の石九小のダンジョンへと戻っていった。
 彼らを出迎えたアーセンが、嬉しそうにほほ笑む。
「おお、あなた達、無事だったのですね!」
「いきなり自分らが消えてもうた時には驚いたで。おまけに、ガダメはんまで消えてまうんやもんな……」
 石川達は、ポリポリと頭をかくと笑みを返して言った。
「あはは、ごめんごめん。でも、もう大丈夫! さあ、先へ進もう!」
 一同は頷くと、再びマージュII世の待つ屋上へと歩き出すのだった。




~つづく~

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