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 今日は久しぶりにアメブロの方を更新しました。

 あっちももうちょっと、更新頻度は上げたいんですけどねぇ……。ヤフブロ時代のように、訪問者数も分かりますし。


 さて、こちらの記事は『ばら姫と青い仙人』の続きです。

 一応、明日で完結の予定にはしています。


 ……ファイクエもいい加減進めないとなぁ。


 では、本文スタート!




 貧しいながらも、父と娘は、心から王子とマバラックをもてなしてくれました。やがて、心づくしの夕食も終わり、美しい娘は、部屋を出て行きました。
 さっきから、見えない目で二人の客の様子をうかがっていた老父が、静かな声で言いました。
「旅のお方。あなた様方が三年もの間ご苦労を重ねられて、どなたを探しておられるのか、よろしかったらお聞かせ願いませんか?」
「はい、実は……」
 王子は青い仙人の王に頼まれて、ばら姫を捜し歩いていることを正直に話しだしました。すると、小さく頷きながら聞いていた老人の顔が、少しずつ青く変わっていくのが分かりました。王子の話が終わると、老人は大きく息を吐いてから、また静かに言いました。
「世の中には、不思議な事もあるものですな。すると、わたくしは、あなた様方に深くお詫びをしなければなりません」
「え、お詫びを、ですか?」
「はい、あなた様方は、わたくしの娘のために、そのようなご苦労をなさっておられるのですから」
「え、すると……?」
「はい、あなた様方の探しておられるばら姫というのは、何を隠しましょう、わたくしの娘で御座います」
「え、すると、やっぱり……」
「不思議に思われるのも、ご無理ありません。わたくしはもともとこの国の貴族ですが、今はこの通り、すっかり落ちぶれてしまいました。それと言うのも、あの娘のためで御座います。娘の美しさがインドの国中に広がったからなのです。ばらの花のように美しい、と言って、ばら姫と言う名前も皆さんで付けてくれました。しかし、その事から、困ったことが起きてしまったのです。
 この国の西の方の山に、恐ろしい魔王が住んでいるのです。その魔王が、娘のうわさを聞いて、ばら姫を嫁にもらいたい、と申し込んできました。もちろん、娘もわたくしもお断りしました。けれども、魔王はあきらめませんでした。そしてある日、魔王の家来たち十人が、娘を連れに来たのです。
 ところが、神様のお助けでしょうか、この屋敷に入ろうとすると、どこからともなく、たくさんの小石がまるで雨のように家来たちの頭の上に降って来たのです。おかげでさすがの家来たちも、命からがら逃げ帰っていきました。


Barahime-3.JPG


 怒った魔王は、今度は百人の家来たちに言いつけたのです。しかも、父親のわたくしを殺して、ばら姫を奪ってこい、ついでに財産も残らず取り上げてこい、という酷いことを……。けれどもその百人の家来たちが、この屋敷に入ろうとすると、また、前の時と同じように、いえ、前よりももっとひどくたくさんの小石の雨が家来たちの頭の上に振ってきて、やっぱり逃げ帰りました。
 二度とも失敗した魔王はもう諦めたのか、その後は来ませんでした。でも、魔王の恐ろしい呪いで、わたくしの目は見えなくなってしまいました。
 そればかりではありません。この話が国中に広がって、みんな魔王の呪いを恐れだしたのです。そして、魔王の呪いのかかっている家だからと、誰一人、わたくしたちの所に来てくれなくなったのです。わたくしと娘は、親戚からも、友達からも、すっかり見捨てられてしまったのです」
 老人は、見えない目の涙をそっとふきました。
 王子もマバラックも、涙の溢れてくる目を押さえました。
 老人はまた言いました。
「それで、お願いがあるのですが、わたくし達を可哀想にお思いでしたら、どうぞ、娘を一緒に連れて行ってください。実は、今こうしておりましても、恐ろしいしいあの魔王がいつやって来るかと、それが心配でならないのです。娘が可哀想でならないのです」
 王子とマバラックは、思わず顔を見合わせました。
「ぜひ、お願い致します!」
 老人はまた言います。
「お連れするのは、こちらの方からお願いしたいことです。でも、青い仙人の王が、何故、ばら姫を探しているのか、それが私には分からないので……」
 と、王子が言うと、老人は慌てて手を振りました。
「青い仙人の王のうわさは、わたくしも今までに何度も聞いております。神様のような偉い方だそうですから、哀れな娘をきっとお助け下さると思います」
「そうですか。それほどまでにおっしゃるのでしたら……。でも、姫の気持ちを確かめませんと」
 王子が言い終わらない内に、老人は手を鳴らしました。
「お呼びですか、お父様」
 姫が淑やかに入ってきました。
「そこに座りなさい」
 目の見えない老父は、娘の美しい手を軽く握って、王子たちの事を詳しく話して聞かせました。
「はい、お父様。よく分かりました」
 ばら姫は美しい顔を、王子の方に向けて言いました。
「王子様、わたくしは、あなた様とご一緒に参ります。そうすれば、あなた様は無事にペルシャの王様になることが出来るのですから……。いえ、わたくしの方も、あの恐ろしい魔王の呪いから逃れることが出来ますもの。また、そのために、わたくしがもっと不幸なことになりましても、決して悔やみません。ただ、一つお願いが御座います。この父も一緒にお連れ願いたいのです」
「はい、分かりました」
 王子が喜んで答えると、ばら姫は初めてにっこりと笑いました。
 さて、そのあくる朝でした。突然、思いがけない悲しい事が起こってしまいました。夕べはあれほど元気だった老父が、どうしたことか、夜の間に死んでしまっていたのです。
 ばら姫は悲しみに泣き崩れました。王子にしても、マバラックにしても、慰めの言葉も出ませんでした。
 王子はマバラックに手伝って、亡骸を屋敷の隅に埋めました。そして、その後すぐ、三人は人目につかないように、そっと屋敷を出ました。




~つづく~

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