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今日は『文庫本コーナー』です。
本文の方は、ポリネシアの民話、『鳥の頭』をお送りします。
では、スタート!
鳥の頭
☆
昔々、人間の世界に、まだ火という物が無かった時の事です。
南の方のある島に、マフイケという兄と、マウイという弟が、たった二人だけで住んでいました。
ある日、魚を捕ろうと、渚の側に行った兄弟は不思議なものを見ました。
それは、赤く燃えている火でした。そして、その火の周りには、色々な格好の鳥たちがいっぱい集まっていました。――鳥たちは火を燃やして、濡れた体を乾かしながら、海からとった魚を焼いて食べていたのです。
「うーん。火という物は便利なものだな。よし、あの鳥たちをつかまえて、火の作り方を覚えよう!」
兄のマフイケはそう言いながら、火の方に走り出しました。
と、それを見た鳥たちは、慌てて海の中に逃げ込みました。いや、すぐまた火の側に戻ると、口の中から水を吐き出して、火を消してから、空の上に逃げてしまいました。
「ちえっ! なんて素早い奴らだろう。それにしても、火を消してから逃げるなんて……。奴らを捕まえる、いい工夫は無いかな」
兄のマフイケは、しきりに悔しがりました。すると、弟のマウイが言いました。
「兄さん、いい考えがありますよ。兄さんは、舟をこいで沖に出て下さい。僕は岩の影に隠れていて、鳥たちが安心して火を燃やしたところを、素早く捕まえますから」
「うん、それは上手くいきそうだな」
そして、兄は沖の方に船をこぎ出し、弟は岩の陰で鳥たちの来るのを待ち構えました。
けれども、鳥たちは高い崖の上にとまっていて、いつまで経っても下へはおりて来ませんでした。
そのはずです。
鳥たちは、舟の中の人が一人しかいないのに気が付いたのです。――もう一人は、きっとどこかに隠れているだろうと、用心をしていたのです。
その日はとうとう失敗に終わってしまいました。
「兄さん。上手い考えがありますよ。明日は、この方法でやりましょう!」
弟のマウイはたくさんの草を集めると、一晩中かかって大きな人形を作りました。
「この人形を、兄さんと一緒に舟に乗せるのです。すると鳥たちは、二人とも沖へ出たと思って、安心して火を作るでしょう。そこを捕まえるのです」
「うん、それなら良さそうだな」
「でも、鳥たちに分からないようにするのには、夜の明けない内に沖へ出なくてはいけませんよ」
「そうだな」
という事で、まだ鳥たちの寝ている内に兄と人形を乗せた舟は、沖に出ました。
目を覚ました鳥たちは、海を見て安心しました。もう沖に出ている船には、二人の人影がはっきり見えるからです。
みんな、渚に降りました。そして、魚を捕りに海に入っていくものもあれば、渚に残って火を作ろうとするものもいます。
と、そのちょっとの油断を狙っていた弟は、いきなり岩の陰から飛び出しました。
鳥たちは驚いて、ぱっと逃げましたが、それでも弟は、右と左の手に、一羽ずつの鳥を捕まえました。
「さ、やっと捕まえたぞ! 早く、火の作り方を教えろ。教えないと、お前たちを絞め殺してしまうぞ!」
すると、首をつかまれて苦しい鳥は、バタバタともがきながら、
「は、はい、教えます。教えますから、首の手を放して下さい」
と泣きながら言いました。
「よし、本当だな!」
そしてマウイが少し手を緩めると、鳥たちはいきなり逃げ出そうとしました。
「この野郎! 嘘をついて逃げようたって、もうだまされないぞ。さ、早く言え! 火の作り方を言うんだよ!」
怒ったマウイは、余計きつく首を絞めました。
「い、言います。実は、木と木をいつまでもこすり合わせていると、そこから熱が出て、火になるのです」
苦しくなった鳥たちは、とうとう本当のことを言いました。
「なにっ、木と木をいつまでもこすり合わせるんだって? 本当だな!」
「は、はい、そうです。嘘だと思うなら、試してみて下さい」
しかし、マウイはまた考えました。
木と木をこすり合わせるのには、鳥たちを放さなければなりません。
その隙に、逃げてしまうかも知れません。
そこでマウイは、木と木の代わりに、つかんでいる鳥の頭と頭をこすり合わせました。鳥たちが痛がってぐうぐうと鳴き出しました。
「お前たちが逃げ出そうとしたバチだぞ」
そして、長い間こすり合わせていると、成程、そこに熱が出てきて、火が出来ました。
「よし、これで火の作り方が分かったぞ。命だけは助けてやるから、さ、どこへでも行け!」
二羽の鳥は、燃えている頭を慌てて海に突っ込んで、火を消してから、崖の上の方に逃げていきました。
そうです。今でも鳥の頭についている赤いトサカは、その時の火傷の痕だという事です。
~おしまい~
かなり賢い鳥が、かなり酷い目に合うお話でしたね(汗)
なるほど、という感じの内容ではないですが、火を付ける展開から思いつくお話しとしては、突拍子無さ過ぎるのが凄くユニークだなと思いました……!
私のフォロワーさんに、公式キャラを、もう原型がないぐらいに能力をめちゃくちゃにしている人がいて、その人の事を言っているんですよ(;´∀`)
例えば、アニポケのサトシをポケモントレーナーとして扱うのではなく、完全に能力者扱いするだとか・・・
リボーンの雲雀さんの能力に、聖闘士星矢的な能力をつけちゃうとか、そんなぐらいのひどい設定をしてる人がいたんです!
混ぜるならせめて設定大事にして欲しいって思うところですが全く原型がないぐらいめちゃくちゃでした(´・ω・`)
アカサカさんの場合は、設定を大事にしてるんだなーって思いながら、見てるので、決してアカサカさんの事を言っているわけではありません!
あの書き方は、本人にバレない、かつさりげなく「公式設定めちゃくちゃにするこのフォロワさん嫌い」アピールしてるだけでございます><
紛らわしくてすみません><
ですね。鳥以下のオツムな彼らもどうかとは思いますが……(爆)。
確かに、こういうのも地域色が出てるのかも知れませんねぇ。
へぇ~、そうなんですね。
私は全く前知識ない状態で今回のお話を書いたので、いろいろ勉強になりました。
確かに、最初に「火を起こす方法を知った人間」であるのなら、のちに神様とされても自然ですよね。
わざわざ有難う御座います。m(_ _)m
成程、そうだったんですね。
私も倉麻さんがおっしゃる通り、「碌に知らないくせに語るな」といった考えですので、二次をやる時は最低限の知識は学ぶようにしてます……というか、ガッツリはまった作品でしかやらないので、自然と知識も身についてるというか……。ちなみに『偽かいぞーき!!』の小説を書いた時はちょくちょく山さんに監修してもらっていました(笑)。
私自身、割と過敏な部分はあるかなぁと自覚はしているんですが……。(^ ^;)
とは言え、後々にその「とんでもない展開」をやろうかやるまいか迷っていた所でしたので(具体的にはマミさん達をジュウオウキングに乗せて巨大戦をやる)、今回は(私とは直接関係の無かった所の話とは言え)貴重なお声を聴く機会になったなぁ、と感じております。
こちらこそ、余計なご心配をおかけしてしまい、すみません。
そして、有難う御座いました。(^_^)