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 今日は店内トップ(コンテンツページ)に『アメブロ支店』を追加しています。


 さて、今日は小説版『ファイクエII』第6話の完結編です。

 書き上げたら、今までのパートの倍以上の長さになってしまいました……


 まぁ、ボスも二人いるし、と理由にもなっていない理由は置いておいて……。


 なお、前回はコチラ

 では、本文スタート!


 阿修羅と対峙した三人は、張り詰めた表情で、阿修羅の次の言葉を待っていた。
「最後の関門は……」
「ゴクリ……」
 石川がつばを飲み込む。
「最後の関門は……!」
「はいっ!」
 思わず、石川が気を付けの姿勢になった。
 カッと目を見開いて、阿修羅が叫ぶ。
「ジャンケンだ!」
 よく見ると、阿修羅の六本の腕の内、上の二つはグーを、真ん中の二つはチョキを、下の二つはパーの形になっている。
「ガビョーン!」
 先ほどまでの緊張感もどこへやら、石川達は思わずつんのめった。
 気を取り直して、石川と阿修羅が、同時に拳を振り上げる。
 一瞬早く、阿修羅が動いた。
「行くぞジャンケン!」
「最初はグー! ……って、ええっ!?」
 石川は思わずグーを突き出す。
 普段、彼らは「最初はグー!」の文句でジャンケンをしていたのだが、阿修羅はそんな前置きなしに拳を突き出してきたのだ。
 焦る石川だったが、拳はすでにグーの形で突き出してしまっている。
 しかし、
「チョキ!」
 なんと、阿修羅が突き出したのは、チョキの形の拳であった。
 偶然とはいえ、石川は勝利を収めたのだ!
「やったー! おれの勝ちだーっ!」
「うおお負けた! 負けたぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 ズシィィィィィィィィィィィィィィン!


 自身の敗北にショックを受けた阿修羅は、頭を抱えると、そのまま後方に倒れこんで、凄まじい地響きを立てるのであった。


 最後の関門を突破した三人は、ピラミッドを抜けて、塔の内部へと到達していた。
 塔と言っても、前述の通りそんなに高いものではなく、せいぜい三階建て程度の高さだ。
 その最上階まで登ると、部屋の中央に、何やら白い光を放っている石が見える。
「あ、あれは!」
「クリスタルだよ!」
 石川は、嬉しそうな顔でクリスタルの所まで駆け寄った。
「やったぞ! 最後のクリスタルだ!」
 最後のクリスタル、『光の白玉(ライト・ダイヤモンド)』を手にして喜ぶ石川だったが、その時だ。
「待てい!」
 ステレオで叫ぶ声と地響きのような足音が響く。
「えっ!?」
「そのクリスタル!」
「こちらにもらおうか!」
 そこに立っていたのは、フライールとガクホーンの二体だった。
 二体とも、強引にピラミッドを突破して追いついてきたのだ。
 だが、そう言われて素直に渡す石川達ではない。
 石川は舌を出して叫んだ。
「やだよーっ! せっかくここまで苦労して来たんだ、渡してたまるか!」
 それを聞いて、激高したのはフライールだった。
「なにぃぃぃぃっ!?」
 スラッと腰の大太刀を抜き放つ。
「落ち着け、フライール!」
「うるさーい!」
 ガクホーンがたしなめるが、フライールは構わず太刀を振り上げた。
 それを見て、石川は岡野たちをの方を振り返って叫ぶ。
「くっ! 逃げるんだ、二人とも!」
「死ねぇぇぇい!」


 ドガッ!


 フライールが振り下ろした太刀が、塔の床を砕く。
 間一髪、それを避けた石川達は走り出すが、フライールは強引に塔の柱を切り倒しながら追いかけてきた。


 ドガッ! ドガッ! ドガッ! ドガッ!


 が、柱をどんどん破壊されたせいで、塔は自分の天井を支えきれなくなっていた。
 やがて――


 ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!


 すさまじい地響きを立てて、ピラミッドの天辺に建っていた塔は一気に倒壊してしまったのだ。
 その瓦礫の中から、土煙を上げて二つの影が這い出てくる。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅっ!」
「こんな事なら、最初から塔ごと全て破壊しておけば良かったのだ!」
 忌々しげにガクホーンが吐き捨てる。
 その時、石川も倒壊した瓦礫の中から這い出してきたところだった。
「痛ててて……。無茶苦茶するヤツだなぁ……」
 が、ふと周囲を見てみると、上田と岡野の姿が見当たらない。
「上ちゃん? 岡ちゃん!?」
 まさか、二人とも逃げ遅れて――
 そんな考えが石川の頭をよぎり、その顔が青くなる。
 しかし、そんな石川の前に、魔衝騎士たちは容赦なく立ちふさがった。
「はっはっは、ここまでだな……」
 フライールが勝ち誇ったように笑うが、石川はブレイブセイバーを構えると叫ぶ。
「くっ! 諦めてたまるか! おれ一人でもやってやる!」
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 ガキィィィィィィィィィィィィン!


 フライールが振り下ろしてきた太刀を、石川はブレイブセイバーで受け止める。
 だが、
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 ドガァァァァァン!


「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!」
 間髪入れずに突き出されてきたガクホーンの薙刀を受け、石川の身体が後方へと吹っ飛ばされた。
 新品の鎧のおかげで石川の肉体こそ切り裂かれることは無かったものの、その衝撃はかなりのものだ。
 尻餅をつく石川に、フライールとガクホーンがジリジリとにじり寄る。
「ふん、他愛もない!」
「小僧、覚悟!」
 だが、天はまだ石川を見捨ててはいなかった。
「待て!」
「むっ!」
 ガクホーンが声のした方を向くと、瓦礫の上に立っていたのは上田と岡野だったのだ。
「上ちゃん! 岡ちゃん!」
 安堵と嬉しさのため、石川の表情が笑顔のそれに変わった。
「ごめん、テッちゃん! 脱出に時間がかかっちゃった!」
 あの時、上田は岡野の身体をつかまえて、間一髪、エスケープの呪文で塔の崩壊から脱出していたのだ。
 二人が無事だったことを知って、怒りに燃えていたのはフライールとガクホーンだ。
「おのれ!」
「私が相手になろう!」
 ガクホーンが、上田と岡野の方へと向き直る。
「おう!」
 それに対して、岡野たちも臨戦態勢で待ち構えた。
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 ガクホーンが繰り出してきた薙刀を、岡野は籠手で受け止めた。


 ガキィィィィィィン!


 そのまま鍔迫り合いを続けていた両者だが、岡野は強引に押し切ると、ガクホーンに向かって回し蹴りを放つ。
 が、ガクホーンも一瞬のうちに体勢を立て直すと、その蹴りを伏せて避けた。
 その体勢のまま薙刀を振り上げ、さらに今度は目にもとまらぬ速さで突きを放つが、岡野もさるもの、強化された動体視力で、その流れるような攻撃を紙一重でかわしていた。
 続けてガクホーンは薙刀を振り下ろすが、その刃は、再び岡野の籠手によって塞がれていた。
 そして、その刃をはねのけてガクホーンの体勢が崩れたところに、今度は上田が飛び込むと早口で呪文を唱える。


 グー・ダッ・ガー・バク・レイ・ゲム!
(大気よ、唸り弾けろ!)


「爆裂呪文・ボンバー!」


 ドガドガドガァァァァァァァァン!


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 至近距離で爆発の連続攻撃を受け、今度はガクホーンのボディが地面に投げ出される。
 一方、フライールと一対一の勝負になっていた石川も、先ほどまでとは打って変わり、フライールと丁々発止の勝負を繰り広げていた。


 ガキィン! ガキィン!


 剣と太刀の刃がぶつかり合い、周囲に鋭い金属音を響かせる。


 ギィィィィィィィン!


 鍔迫り合いの後、フライールの手から太刀が飛んでいた。
 石川が横に払った一撃が、フライールの太刀を弾き飛ばしたのだ。
「やるな! ならば!」
 叫ぶなり、フライールのボディが変形を始める。
 両腕が胴体に収納され、足も縮み、前方へと突き出される。
 瞬く間に、フライールはレーシングカーのような形態へと姿を変えていた。
 続けてガクホーンも変形を始める。
 両腕が肩に収納され、足も畳まれて、ボディ各所のドリルが全て前方を向く。
 次の瞬間、そこにはガクホーンの頭部を持ったドリル戦車が出現していた。
「行くぞ!」
 叫ぶなり、ガクホーンのドリル戦車が地面へと姿を消す。
「あっ! 野郎、どこへ行く!」
「逃げたのかな……?」
 いぶかしむ上田だったが、答えは次の瞬間に来た。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


「わわっ!」
 石川達が立っていた地面が突如陥没し、不意を突かれた彼らは体勢を崩したのだ。
「今だフライール!」
 陥没した穴の底から姿を現して、ガクホーンが叫ぶ。
「応!」
 そこへ、フライールが走りこんできて、石川に強烈な体当たりを見舞った。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 続いてはガクホーンが、岡野に対して同じように体当たりを仕掛ける。
 二体は石川達に反撃の隙を与えないよう、絶妙のコンビネーションで体当たりを繰り返していた。
 このままでは、徐々に体力を削られていくのは明白だ。
 上田が石川に向かって叫んだ。
「テッちゃん、三魔爪を呼ぼう!」
「よーし!」
 石川は懐から熊のような姿をした土人形を取り出すと、空に向かって投げる。
「頼むぜ、アーセン!」


 シュパーン!


「ドンッドグ~ウ!」
 土人形がまばゆい光を放ち、その中からアーセンが姿を現した。
「私に、任せて下さい!」
 アーセンは石川達の前に立つと、突撃してくるフライール達に向かって、素早く呪文を唱えた。


 ゼー・レイ・ヒーラ・ヴィッセル!
(閃光よ、閃け!)


「閃光呪文・バーネイ!」


 ゴォォォォォォォォォォォォッ!


 アーセンの、土偶の右手から帯状の火炎が放射され、魔衝騎士たちを吹き飛ばす。
「うぉぉぉぉぉぉっ!」
「ぐわぁぁぁぁぁっ!」
 しかし、二体は体勢を立て直すと、そばの地面に着地した。
「おのれ!」
「フライール!『あれ』をやるぞ……!」
 ガクホーンの言葉に、フライールもうなづく。
「おうよ!」


 ジャキィィィィィィィィン!


 次の瞬間、フライールがガクホーンの機体の上に飛び乗り、ドッキングして一体の大型戦車となったのだ。
「朱(あか)と蒼(あお)の、全方位(オールレンジ)攻撃!」
 叫ぶなり、二体はタイヤとドリルを高速回転させて突進してきた。
 その姿は赤と青の渦巻きへと変わる。
「なんだアイツら……?」
 呆然とその渦を見つめていた岡野だが、その錐揉み状の渦が彼らの側を突き抜けていった時、凄まじい衝撃が一同を襲ったのだ。


 ドガァァァァァァァァァァン!


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「これはぁぁぁぁぁっ!」
「みんな! うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 石川達もアーセンも、木の葉のように宙に吹き飛ばされて地面に激しく叩きつけられる。
「くっ……あの攻撃、ただ事じゃないぞ!」
 軋む体を押さえながら、石川が立ち上がる。
「二体の、魔衝騎士たちの、相乗効果で、威力が、何倍にも、強まっているようです。並大抵の、攻撃では、あの渦を、突破することは、出来ません」
 いつもの冷静な口調ながらも、冷や汗をかきながらアーセンが言った。
「じゃあ、どうしたら!?」
「私に、考えが、あります。いいですか?」
 アーセンは三人に向かって、手短に反撃の作戦を伝える。
「よし、それでいこう!」
 アーセンの作戦を聞いた石川達は、力強く頷く。
 四人は一カ所に固まると、石川、上田、アーセンは呪文を唱え、岡野は拳に気を集中させる。


 グー・バク・ゴウ・ゲレム・ガルム・バング
(大気よ、全てを砕け散らせたまえ)


 グー・ダッ・ガー・バク・レイ・ゲム


 上田とアーセンの両手に極大呪文のスパークが巻き起こり、石川の手にはボンバーのスパークが同じように生まれている。
 岡野の掌にも、今の彼のレベルで可能な限りの気が送り込まれていた。

 その間に、フライール達は向きを反転させ、再び四人に向かって突進してきた。
「極大爆裂呪文・ボンベスト!」
「爆裂呪文・ボンバー!」
「昇竜波!」

 上田とアーセンからはボンベストが、石川からはボンバーが、岡野からは神龍波よりも一回り小さい竜の姿をした気功波が放たれ、それらは混じりあって、フライール達にも匹敵する大きさの渦となった。


 ギュォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!
 ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!


 呪文と気が融合した光の渦と、赤と青の渦は正面から激突し、周囲に大爆発を巻き起こす。
 勝ったのは石川達の方だった。
 爆煙に混じって、かつてフライールとガクホーンだった金属の破片が辺りに降り注いでいたのだった。



「ようやく全部そろいましたね」
 目の前に並べられた六色のクリスタルを前にして、サクラが感慨深そうに言った。
 住宅地の中央広場で、全員がクリスタルの前に立っていた。
 その時だ。


 パァァァァァァァァァァッ……


「あらっ?」
「な、なに?」
「なんだ?」
 突如、六色のクリスタルが淡い光を放ったのだ。
「テッちゃん、空を見て!」
「えっ?」
 空には虹色に光るオーロラが現れていた。
「なっ、これは……?」
 一同は呆然と、そのオーロラを見上げている。
 オーロラはまるで、クリスタルが揃った事を祝福するかのように、いつまでも輝いているのだった。




~つづく~

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 という訳で、今回は小説版『ファイクエII』第6話のパート2です。

 早ければ、明日には完結編が投稿できると思います。


 なお、前回はコチラ

 では、本文スタート!


 石川達は、暗い通路を進んでいく。
 しばらく歩いていると、目の前に上の階へと続く階段が見えてきた。
 そしてその前には……。
「おっ?」
「よく来た! このアイシジンジャは各階の関門を乗り越えないと次の階へ行けないのだ!」
 階段の前には、二メートルほどの高さの人間のような目と口が付いた木が立っており、その横には立札が立っていた。
 以前、壱の松原で襲い掛かってきたダークトレントに似ているが、顔つきはあちらのように凶悪ではなかった。
 相手に攻撃の意思がない事を理解した三人は、どのような関門が待ち受けているのか、緊張した面持ちで身構える。
「まずはワシが出す計算に答えてもらおう……!」
 言うなり、トレントの横に立っている立札に計算式が映し出される。
「計算なら頼むぜ、上ちゃん!」
「ええっ、おれ!?」
 石川に指名され、上田が困惑した声を出す。
 彼はどちらかと言うと、国語や社会の方が得意なのだ。
「この問題を二〇秒で解くのだ!」
 映し出された問題は、一つ目が『2X+3=7。X=?』二つ目が『3X=18-3。X=?』。
 簡単な算数ではあるが、まだ四年生で習うような問題ではない。
「急げ上ちゃん!」
「頑張って!」
「えーっと……」
 しばらく上田は考え込むが、残り五秒となったあたりで叫んだ。
「答えは一門目がX=2! 二門目がX=5!」
「正解!」
「ふう、塾行っといて良かった……」
「では次の問題は一〇秒だ!」
 立札の計算式が、次の問題を映し出す。
「答えはX=12!」
「正解! では次!」
「頑張れ上ちゃん!」
 うんうん唸りながらも、上田は確実に答えを出していった。
「では次!」


 トレントの関門を突破した石川達は、次の階の通路を進んでいく。
 しばらく進むと、今度は人の体に羊の頭を持った石像が立っていた。
 手からは糸から吊るされた、小さな輪っかがぶら下がっている。
「よく来ましたね。この関門を突破できますか?」
 言うなり、羊頭は手からぶら下げた輪っかを左右に揺らし始めた。
「ほ~れ眠れ~。眠ってしまえ~……」
 左右に揺れる輪っかから波のようなものが照射され、三人を包み込んでいく。
「ふわぁ~……。何かおれ、眠くなってきた……」
「おれも……」
 見る見るうちに石川達の目がトロンとしていき、まぶたが下がっていく。
 ただ一人(?)、生きている杖である錫杖には催眠音波は効いておらず、三人を必死に起こそうとしていた。
「マスター! しっかりして下さい!」
「そんな事言ったって……」
「あ~も~、こうなったら!」
 しびれを切らした錫杖は、なんと、手近にいた岡野の尻に、自分の頭部(?)の先にある刃を突き刺したのだ。


 ブスッ!


「痛てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
 その痛みに、岡野が尻を押さえて飛び起きる。
「何てことすんだよ、錫杖!」
「それより岡野さん、お二人を!」
「ああっと、そうだった!」
 我に返った岡野は、石川と上田を揺り起こす。
「おい、起きろよ! テッちゃん上ちゃん」
 が、二人はなかなか目を覚まそうとしない。
「起きろーっ!」


 ビシバシ! ビシバシ!


 石川の両頬に、岡野は連続ビンタをかます。
 でも、だめ。
「起きろぉぉぉぉぉっ!」


 ゴキゴキゴキ……


 上田には、なんとコブラツイストまでかけるありさまだ。
 やっぱり、だめ。
 そうしている内にも、羊頭からは催眠音波が照射され、再び岡野も眠気に襲われてきた。
 そんな岡野が出した答えは……。
「ええいこうなったら、強行突破だ!」
 なんと岡野は石川と上田を担ぎ上げると、そのまま全力ダッシュで羊頭の横を走り抜けていったのだ。
 これには羊頭も、呆然となって見送るしかなかった。


 さて、その頃。
 ピラミッドに再度突入したフライールは、またしても迷路の中に迷い込んでいた。
「ええいまた行き止まりか!」
 壁にぶち当たったフライールは、腰の大太刀を抜くと、壁に向かって投げつける。
「でやぁぁっ!」


 ドガァァァァァァァァァン!


 壁をぶち破って先へ進むフライールだが、まだまだ迷路からは抜け出せそうにない。
「くそう、また迷路の中に入っちまったぜ!」


 一方、ガクホーンの方は、先ほど石川達が突破した羊頭の前に到着していた。
「ここの関門、突破できますか?」
「…………」


 ジャキン!


 ガクホーンは無言で薙刀を構える。
 羊頭がギョッとなったのもつかの間、次の瞬間、


 ズバッ!


 薙刀が一閃し、羊頭の石像は綺麗に横に切断され、胸部から上がその場に転がった。
 その横をガクホーンは何の感慨も示さずに通り過ぎていく。


 他方、その羊頭の関門を突破した三人。
 石川と上田もようやく目を覚まし、階段を上っていた。
「はぁ、はぁ、あといくつ関門あるんだ……?」
 息を切らせながら、石川が階段を上りきる。
 ふと前を見ると、一行の目の前には、全高が五メートルほどの、凄まじい形相の阿修羅の像が立っていたのだ。
「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 その恐ろしい姿に、思わず石川が悲鳴を上げる。
「よくぞここまでやって来た。いよいよ最後の関門じゃ」
「は、はい……」
「この関門を失敗すればお前たちは死ぬ……」
「ええっ……!?」
 衝撃の事実を突きつけられ、三人の表情が驚愕に歪んでいた。




~つづく~

 こんにちは、アカサカです。

 アメブロの方に、昨日のオーズアーマーと先日買ったフォーゼアーマーの簡易レビューを先ほど書きまして、こちらでは小説版『ファイクエII』の続きといきたいと思います。


 ……ブログが二つあると、こういう時に便利やね(爆)。

 ちなみに私にとっての『難関』は、文字サイズを変えるとバグる、このブログの改行だったり(爆)。


 では、本文スタート!


 トゥエクラニフ化した現実世界を元に戻すため、石川達が集めているクリスタルも、残すところ『光の白玉(ライト・ダイヤモンド)』のみとなった。
 ……のだが。
「むむむむむむ……」
 住宅地の中央広場で、石川達は魔力書物を前に険しい顔をしてうなっていた。
 残り一つというところで、書物がなかなかクリスタルの反応を示さないのだ。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! おれ、もう耐えられない!」
 耐えかねたように岡野が叫ぶ。
「まぁまぁ、オカノさん、落ち着いて……」
「書物が反応しないとクリスタルのある所は分からないんだから」
 横からアーセンと上田がなだめるが、石川も岡野に同意するかのように叫んだ。
「でも! 魔衝騎士がクリスタルを手に入れたらと思うと、焦っちゃうよ」
 そんな時だ。
 実にタイミングよくと言うべきか、書物がクリスタルに反応して光を放ったのだ。
「この場所は愛石神社だね……」
 地図を見ながら上田が言った。
 ここは結界の中でも住宅地から一番遠い場所にある。
 だが、最後のクリスタルを見つけたという喜びが、彼らのやる気を最大限に高めていた。
「よ~し、愛石神社に行くぞー!」
「おーっ!」
 石川の号令に、上田と岡野も拳を振り上げて景気よく叫んだ。


 一方、石川達が出発したのを、マージュII世も気づいていた。
 一足早くクリスタルの反応を感知した彼は、すでに魔衝騎士を向かわせていた。
 彼らの姿が映る水晶球を前に、マージュII世は仮面の下から不敵な笑い声を漏らす。
「ふふふ、小僧どもめ。アイシジンジャに向かっておるな。あそこには魔衝騎士フライールとガクホーンがおるのだ。ファッファッファッファッファッ!」



 住宅地を出発した三人は、壱の松原の時のように品柄川(しながらがわ)にそって歩いていた。
 ただし今回は、神社と住宅地の中継地点である甥浜駅(おいのはまえき)まで川に沿って歩くことになる。
 大通りを横切った時、ふと、上田が住んでいるマンションだった建物が目に入った。
 それもやはり、西洋の館のような建物に変貌している。
「…………」
 上田は複雑な表情で、その建物を見つめていた。
「上ちゃん……」
 岡野が気遣うように、上田に声をかける。
 覚えているだろうか。
 岡野は今でも知らないふりをしているが、上田はトゥエクラニフに飛ばされたその日、ホームシックで密かに泣いてしまった事があった。
 だが、上田は岡野に対してニッコリと笑いかける。
「ん、大丈夫。クリスタルも残り一個だし、ここで頑張らないと!」
「だな。よし、行くか!」
 岡野もうなずくと、三人は道中襲い掛かってくるモンスター達の襲撃を退けつつ、先を急いだ。
 ちょうど甥浜駅に着いた辺りで日が暮れてきたので、三人は駅内部にある喫茶店で夜を明かした。


 翌朝、三人は朝食をとると神社に向かって出発した。
 駅に入居しているスーパーもやはりトゥエクラニフ化していて、洋服屋だったお店は鎧などを置いた防具屋へと変貌していた。
 とは言え、店員がいるはずもなかったので、三人はそれぞれ自分に合った防具を持ってきていた。
「まぁ……」
 石川は苦笑しながらこう言った。
「RPGじゃ、人んちの宝箱の中身を勝手に持っていくなんて当たり前だしね!」
 さて、武器はもとより、防具も充実した三人にとって、そこいらのモンスターなど敵ではない。
 暴走パトカーと同じように意思を持った自動車モンスター、黒タクシーも、アーマーの上位種であるカーネルも、トゥエクラニフでは散々苦戦させられたメイジターキーも、彼らの行く手を阻むことはできなかった。
 三人は半日もせずして、愛石神社に到着していた。
 しかしながら、トゥエクラニフ化した愛石神社の変貌ぶりは、石川達の想像をはるかに超えていた。
 本来、この神社は小高い山の上にあるのだが、山の中腹から上の部分がマヤのピラミッドのようになってしまっていたのである。
 天辺には神社の本殿が変化したのであろう、低めの塔が建っていた。
「ここ、本当に愛石神社だよね……」
 ピラミッドを見上げて、石川が呆けた声を出す。
 無理もなかった。
 これまでのダンジョンで、一番元の施設との変化がすさまじかったのだから。
 或いはこれも世界が本格的にトゥエクラニフ化してしまう事の前触れなのか……。
 三人の頭に、そんな考えがよぎった。


 同じ頃、ピラミッドの中ほど。
 その中は複雑な迷路と化していた。
 突然、


 ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!


 壁を突き破って、巨大な刀が飛び出してくる。
 壁の向こう側から現れたのは、赤い重厚なボディを持った魔衝騎士だった。
 刀はこいつが投げたのだ。
 両肩には巨大なタイヤが付き、胸部には『飛』という文字に似た紋章が刻まれている。
 フライールである。
「ええい! いつになったら最上階に着けるのじゃ!」
 フライールは苛立ったように叫ぶ。
 迷路の壁を破壊して進むという行動から分かるように、彼はなかなか短気な性格をしているようである。
 他方、もう一人迷路を進む影があった。
 額には刃のような一本角が生え、両肩をはじめとして、つま先などに巨大なドリルがついている。
 そして、膝のパーツはキャタピラになっていた。
 胸部には『角』という文字に似た紋章が描かれている。ボディ全体は青を基調としたカラーリングだ。

 手には両端に刃が付いた長刀を持っている。
 こちらが愛石神社に向かったもう一人の魔衝騎士、ガクホーンだった。
「中に入れば迷路ばかり……。なかなか厄介な所にクリスタルが……むっ、フライール!」
「ガクホーン!」
 バラバラに迷路を進んでいた二人だったが、どうやら迷路で迷っているうちに、偶然再会したようであった。
「どうだ、そっちは?」
「ダメだな。どこもかしこも行き止まりで、上へあがれん」
 相棒も収穫が無いのを聞いて、フライールは腹立ちまぎれに思いっきり床を踏みつけた。


 ドシィィィィィィィィィン!


「おのれ! 誰だこんな迷路を造りやがったのは!」
 が、少しばかり力が強すぎたようだ。


 ピシッ、ピシピシ……


「あ……」
 フライールが踏みつけた所から床にひびが入り、あっと言う間に彼らがいた場所の床が、音を立てて崩れ落ちたのだった。


 ガラガラガラガラァァァァァァァァァァァァッ!


「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「このバカがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 フライールの悲鳴とガクホーンの怒声は、ともに暗い穴の中に消えていった。
 一方、石川達は山を登り、ピラミッドの入り口の前に立っていた。
「ここが入り口か……」
「さ、グズグズしてられないよ! 中に入ろう!」
「おう!」
 その時である。
「マスター、見て下さい」
 錫杖が入り口よりも右の方を指し示す。
「あれ、こっちの方にも入り口がある」
「こっちにもあるぜ?」
 岡野の言う通り、彼らが立っていた入り口からさらに左側にも入り口があった。
 と、


 ドガァァァァァァァァァァァン!


 ピラミッドの壁が吹き飛び、何かが落下してきたのだ。
「どわっ!」
「な、なんだ!?」
 三人(と一本)は、驚いてそちらの方を向く。
「貴様らは!」
「救世主の小僧ども!」
 落下してきたのは、魔衝騎士の二体だった。迷路から転げ落ち、放り出されてきたのだ。
「魔衝騎士!」
「テッちゃん、クリスタルを手に入れる方が先だよ!」
「あ、そっか!」
 上田に促され、三人は入り口に向かって駆けだした。
「急げ!」
 そんな三人の背中に向かって、フライールがバカにしたように笑う。
「バカめ! そこはさっきオレ達が入った入り口よ! 本当の入り口はここだ」
 言いながら、右側の入り口に向かう。
「待て、フライール。こっちが本物かもしれん!」
 ガクホーンは左側の入り口の前に立って言った。
「ではどうするのだ!?」
「どちらにせよ、奴らより先にクリスタルを手に入れねばならん。ここは手分けしてクリスタルの元へ向かうとしよう」
「良し!」
 フライールとガクホーンも、それぞれ分かれて、再度ピラミッドの中に入っていくのだった。




~つづく~

 実は二週間ほど前、とあるブロ友さんにちょっとお聞きしたいことがあって『メッセージ』を送ってるんですけど、いまだに未開封なんですよねぇ……。

 その方はもう、ブログの引っ越し作業(ヤフー推奨)が終わってて、ヤフブロの方が見られなくなってるので、単に気づかれていないって可能性が高くはありますが……。

 現在はコメントをする方もされる方も休止されてて(記事の方は定期的に更新されてますけども)、元々『訪問者履歴』にも名前を残さない設定にされてるので、今もウチに来られてるかどうかわからないですし……。


 さて、記事の方は小説版『ファイクエII』第5話の完結編です。
 今月中に片づけたいことがまた色々あるので、次回の本編の更新は、FC2の方に完全移行してからになるかと思います。

 なお、前回はコチラ
 では、本文スタート!

 車輪ピエロの攻撃を退けた三人は、さらに通路を進んでいく。
 と、薄暗い通路の先に明かりが見えた。
 しかも、それはこちらへと向かってくるではないか。
「なんだ、あれ?」
 三人は目を凝らす。
 と、その方角から、突如メガフレアの火球が飛んできたのだ。

 ゴォォォォォォォッ!

「うわっ!」
 間一髪で、三人は火球をかわす。
 前方にいた明かりの正体は、2メートルほどの聖火台に手足が生えたような外見のモンスターだった。
 古ぼけた松明が長い年月を経て意思を持った、歩く松明というモンスターだ。
「カモーン、エブリバディ!」
 歩く松明が叫ぶと、その頭部の炎が一層激しく燃え上がり、中から目が付いた人魂のようなモンスターが無数に飛び出してきた。
 炎に意思が宿ったフレアゴーストというモンスターだ。
 そこまで強いモンスターではないが、数が多いのが厄介だった。
 しかも、

 カ・ダー・マ・デ・モー・セ!
(火の神よ、我が敵を焼け!)

「火炎呪文・フレア!」
 フレアゴーストはその口から、頻繁にフレアの呪文を唱えてくる。
 たとえフレアといえど、これだけの数で唱えられたらギガフレアに匹敵する。
「わちっ! わちっ!」
「熱いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
 三人はフレアの嵐の中を逃げまどっていた。
 そんな中、冷静に錫杖が叫ぶ。
「マスター、ここは吹雪呪文で!」
「うん!」
「よし、じゃああの鬱陶しい連中はおれ達が……」
 上田が呪文を唱える間、石川と岡野が敵の注意を引き付ける。

 アース・ウェーバー・ガーゴ・グー!
(氷の風よ、凍結させよ!)

「吹雪呪文・フロスト!」

 ゴォォォォォォォォォォォォォォォッ!

 上田の掌から、強烈な雹粒を伴った冷風が噴き出し、歩く松明とフレアゴースト達を包み込む。
「あぎゃぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 風が収まった時、そこには氷の彫像と化した松明が突っ立っているのだった。

 歩く松明とフレアゴースト達を倒した三人は、ついに工場の中心へとやってきていた。
「あれは……」
 目の前の祭壇に、赤く輝くクリスタルが見える。
『火の赤玉(ファイア・ルビー)』だった。
「やった! 五個目のクリスタルだ!」
 石川達は、喜び勇んでクリスタルに駆け寄ろうとする。
 その時だ。
「待っていたぞ、少年たち」
「!」
 三人とクリスタルの間に、人影が舞い降りた。
 そいつは馬の頭部を持った騎士で、肩鎧には小さな翼のような装飾がついている。
 腕には長いランスを持ち、胸部には『桂』という文字に似た紋章が描かれていた。
「我が名は魔衝騎士ニッキー! ここのクリスタルと君たちの命、私がもらい受ける!」
「やっぱここにもボスがいたのか!」
 三人とニッキーは、武器を構えて対峙した。
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 先に動いたのは石川だ。
 石川は床を蹴って一気にニッキーに迫ると、ブレイブセイバーを振り下ろす。
 だが、

 ガキィィィィィィィィィィィィン!

「何っ!?」
 目の前にいたはずのニッキーの姿が一瞬にして消え、ブレイブセイバーは空しく床を切りつけたのだ。
「テッちゃん、後ろ!」
 振り向いた石川の眼前に、槍が突き出されていた。
「くっ!」
 とっさに石川はブレイブセイバーを構え、ランスの一撃はブレイブセイバーをかすめて床に大穴をあける。
「これならどうだ!」
 今度は岡野が飛び上がり、ニッキーに向かって飛び蹴りを放つが、同じようにニッキーの姿は突然掻き消えた。
「えっ!?」
「跳躍力と素早さでは、天馬とてこのニッキーにはかなわぬ」
 またも背後から声がして、岡野に向かって槍が襲い掛かった。
 岡野は身をかわすが、今度は槍が右腕をかすめる。
「うわっ!」
 その衝撃で、岡野は腕から血を流しながら、床にたたきつけられた。
「岡ちゃん!」
 上田が岡野に駆け寄る。
「岡ちゃん、大丈夫!?」
「ああ、かすり傷だよ。けど、アイツのジャンプ力は厄介だぜ。ピョンピョン野郎とは段違いだ」
 その言葉を聞いて、上田が何ごとか、考え込んだ顔つきになる。
「ジャンプ力……って事は、この間のスピアーみたいに飛び回ってるわけじゃない……。だったら……」
 何か考え付いたのか、上田がニヤッと笑う。
「テッちゃん、クレイを!」
「? 分かった!」
 促されるまま、石川が懐から粘土の塊型のアイテムを取り出し、空高く放り投げた。
「来てくれ、クレイ!」

 シュパーン!

「チョ~コック~!」
 粘土がまばゆい光を放ち、その中からクレイが姿を現す。
「呼んだか、ボン達? ……っと、えらい暑い場所やなぁ。こんなところに呼び出されたらかなわんわぁ……」
 額をぬぐいながらクレイが言った。お忘れかも知れないが、身体が粘土でできている彼は、熱に弱いのだ。
 上田はクレイに駆け寄ると、耳打ちをする。
「あのね、こうして、こうして、そうして欲しいんだ」
「なるほどなぁ……。よっしゃ、ワイに任しとき!」
 言うなり、クレイの身体が溶けるようにして床に消えていく。
 その様子を眺めながら、ニッキーは断続的にハイジャンプを繰り返していた。
「何をしようが、無駄な事だ! 私を捕らえる事など誰にもできぬ!」
 ニッキーはとどめとばかり、ひときわ高く宙へと飛んだ。
「覚悟!」
 そのまま自由落下に乗って、凄まじい速度で降下してくる。
 だが、

 ガシィッ!

「な、なにっ!?」
 驚きの声を上げたのはニッキーの方だった。
 彼のボディは、あちこちが地面から生えた、粘土製の縄にからめとられていたのだ。
「地面と一体化しときゃ、あんさんの動きも丸わかりや! 調子に乗って墓穴掘ったな!」
 地面からクレイの目が現れて、不敵な笑みを浮かべる。
「ボン達、今や!」
「よぉ~し、さっきの借り、きっちり返してやるぜ!」
 上田の呪文で傷を回復させた岡野が、目を閉じて拳を構える。
 握りしめた右拳に、気が収束されていった。
 岡野がカッと目を見開き、その足が、力強く床を蹴る。
 拳に気を溜めたまま、ニッキーに向かって駆けていく。
「オーラナックル!」
 岡野が拳を突き出すのと、クレイが拘束を解除して地面に潜り込むのは同時だった。
 気をまとった岡野の拳は、正面からニッキーのボディに命中する。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!

 岡野の一撃を受けたニッキーは、空中高く殴り飛ばされ、工場の高い天井すれすれで大爆発を起こした。


「いやぁもう、ヘトヘト……」
「本当だねぇ……」
 ニッキーを撃退して『火の赤玉』を手に入れた一同は、クリーンファクトリーを後にする。
 日は傾き始め、空は先ほどまでの工場の中のように赤く染まっていた。
「とにかく今日は、ぐっすり寝たい」
「同感……」
 上田は力なく頷くと、テレポーの呪文を唱えようとする。
 だが……。
「上ちゃん、どったの?」
 石川の問に、上田はバツが悪そうな顔をして振り向いた。
「魔法力……切れちゃったみたい」
「えーっ!?」
 この後一同は、アーセンに迎えに来てもらう事になるのだった。
「えっと、今回の、私の、出番、これだけですか?」
 うん、そう。
「そんなの、あり!?」
 あり。



~つづく~
 てなわけで、前回から三週間近く間が空いてしまいましたが、今日は小説版『ファイクエII』の続きといきたいと思います。
 なお、前回はコチラ

 それでは、本文スタート!

 翌朝、三人は荷物をまとめると、クリーンファクトリーに向けて出発した。
 道路を渡り、さらに坂道を登っていく。
 そうして到着したクリーンファクトリーは、これまでとは少しばかり違う変化をしていた。
「こ、これって……」
 これまでの場所は元から林であった壱の松原を除き、ファンタジックな外見になっていたのだが、このクリーンファクトリーはレンガ造りながらも、ちょうど産業革命が起きた頃の工場のような様相を呈していたのだった。
「よし、行ってみよう」
「うん……」
 石川を先頭に、三人はクリーンファクトリーに入っていった。

 このクリーンファクトリーは、彼ら三人はつい先日、学校の社会科見学で来ていたのだが、内部構造は別の意味で驚くべき変化を遂げていた。
 通路の下には溶岩のような、ドロドロに溶けた真っ赤な川が流れ、周囲では巨大なプレス機が機械らしい規則正しさでゴミを潰し続けている。
 それはまるで……
「ダ、ダ●トマンステージ……?」
「いや、バーニ●・ナウ●ンダーでしょ」
 そう、彼らが愛好しているアクションゲームに出てくる、工場のステージによく似ていたのだ。
 こういう所に出てくる敵と言えば……。

 ガシャン!

 足音が響き、三人はそちらの方を向く。
 そこに立っていたのは……
「ぎぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ、出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「オバケぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
 石川と上田が悲鳴を上げる。
 それはボロボロになった、ゾンビのようなモンスターだった。
 しかし、
「バカ、よく見ろ! ありゃメカだぜ!」
「へっ!?」
 岡野の言う通り、それはスクラップになりかけたアーマーだった。
 とは言え、壊れかけた姿で迫ってくるのは、生身(?)のゾンビとはまた違った気色悪さがある。
「ギィィィィィィッ!」
 ゾンビアーマーは軋むような咆哮を上げながら襲い掛かってくる。
 しかし、
「ゴミ捨て場に帰れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 バキィィィィィィィィィィィィッ!

 岡野の鉄拳が飛び、アーマーは近くの溶鉱炉に落下して、沈んでいった。
「ふう、気持ち悪い奴だった……」
「そうだね」
 苦笑する一同だったが、そこへさらに足音が響く。
「……まさか?」
「ギィィィ……」
「ガァァァ……」
「ゲェェェ……」
 ゆっくりと振り向いた三人が目にしたのは、数にして二十体以上のゾンビアーマーだった。
「に、逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
 三人は一目散に走りだす。
 さすがにこれだけの数のゾンビアーマーを相手にするのは骨が折れるし、それ以前に、こんな気色悪い連中と戦いたくないというのが本音だった。
 しばらく走った後、三人は工場の一角で一休みしていた。
 相変わらず、周囲はゴミ処理用の機械の駆動音に包まれている。
 そんな時だった。

 ゴロゴロゴロゴロゴロ……

「んっ……?」
 機械の音に交じって、何かが転がってくるような音が聞こえ、三人は耳を澄ませる。
 音はどんどん近づいてきた。
 三人が音のする方を見てみると、巨大な、直径2メートルはありそうな歯車が転がってくるところだった。
「ぬわぁに!?」
 三人の目が、驚愕のために見開かれる。
 しかしそれは、ただの歯車ではなかった。
 その上に、ピエロのような姿をしたモンスターが、玉乗りの要領で乗っていたのだ。
 車輪ピエロという道化師タイプのモンスターで、トゥエクラニフでは遺跡などのダンジョンに潜み、迷い込んできた哀れな犠牲者を石の車輪で轢き潰してしまうという。
「轢き殺す!」
 これまでに無いほど物騒な台詞を吐きながら、車輪ピエロは歯車をゴロゴロ転がしながら三人に迫っていった。
「おっと!」
 三人は横に飛んで避けるが、ピエロは方向転換すると、執拗に三人を追い回す。
 そうこうしているうちに、一同は狭い通路に追い込まれていった。
 ここでは横に逃げることも出来ない。
 このまま力尽きたら、そのまま歯車でペシャンコにされてしまうだろう。
「このっ、これならどうだ!」

 ディ・カ・ダー・マ・モウ・バッ・ダ!
(火の神よ、猛火の裁きを!)

「火炎呪文・メガフレア!」
 上田の掌から、ピエロに向かって火球が飛ぶ。
 しかし、それは歯車にぶつかると、何事もなかったかのようにかき消されてしまった。
「うっそー!?」
 上田が驚きの声を上げる。
 岡野や石川も、振り返って反撃しようにも、どうにも歯車が邪魔してピエロまで攻撃を届かせることが出来ないでいた。
 だが、運はまだ、彼らを見捨ててはいなかった。
 逃げながら、上田が壁に貼られた工場内の見取り図を見つけたのだ。
 彼らの進路の先はT字路になっていて、その先は溶鉱炉になっているようだった。
 即座に上田が考えを巡らせる。
「二人とも、このすぐ先がT字路になってるみたい! おれに考えがあるから、聞いて!」
「なになに?」
 走りながらも、上田は石川達に耳打ちをする。
 それを聞いた二人が、ニヤリとほほ笑んだ。
「よし、やってみるか!」
 三人はスピードを上げて、T字路に向かっていく。
 車輪ピエロもそれに劣らないスピードで、三人の後を追った。
 そしてついに、正面のT字路へと到着した。
 その先は見取り図の通り、真っ赤な溶岩がグラグラと音を立てていた。
 三人は振り返ると、車輪ピエロの方をにらみつける。
「ケケケケケケケケケケケカカカカ!」
 車輪ピエロは勝ち誇ったように、スピードを上げて三人に突撃していく。
 その歯車が、まさに眼前に迫った時、三人はニヤッと笑って、両側の通路に飛びのいた。
「ほんじゃ、バイバイ♪」
「なにいっ!?」
 さしものピエロも急停止する事はかなわず、そのまま溶鉱炉へと真っ逆さまに落ちていった。
「ぎぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
 下の方からピエロの悲鳴と、「バッシャァァァァン!」という水音が聞こえてくる。
「アーメン」
 三人は目を閉じて十字を切ると、さらに通路の奥へと進んでいくのだった。



~つづく~
 こんにちは、アカサカです。

『ファイクエ』の人気投票、一応明日で締め切りですので、ご協力頂けると幸いです……。

 さて、本文の方は、小説版『ファイクエII』の続きと行きたいと思います。
 今回からは第5話となります。


 では、本文スタート!

 トゥエクラニフ化してしまった現実世界(なお、彼らの世界では我々のいる現実世界の事を“ウスティジネーグ”と呼んでいる)をもとに戻すために冒険している石川達だが、四六時中、クリスタルを求めて冒険しているわけではない。
 もちろん、一か月というタイムリミットはあるものの、クリスタルの反応が無い以上は、闇雲にあてもなく結界内を探してみてもしようがない事であるし……。
 主だった事件が無い時には、以前探索したダンジョンに戻って手掛かりが無いか調べてみたり、住宅地の周囲で訓練などをしたり、時には一日、心身を休めるためにのんびりと過ごしている事もあった。
 その日も、一同は住宅地の中心にある広場で朝食をとっていた。
 普段の料理役はオータム、サクラ、ガダメに、たまに上田やセルペンが手伝っていた。
 特にセルペンは、先日の壊滅的な家事でさすがに懲りたのか、現在は素直にサクラ達から料理の手ほどきを受け、だいぶまともな料理を作れるようになっていた。
「せやけど、嬢ちゃんたちの料理、ホンマに美味いなぁ」
 ほとんど胃袋に流し込むような食べ方をしながらクレイが言った。
 モンスター出身とは言え、味覚は人間と大差ないのだ。
「えへへ……有難う御座います」
 サクラが照れたように笑う。
 彼女はブッコフタウンの出身ということもあって、サンドイッチをはじめとする、パンを使った料理が得意だった。
 オータムの方は、むろん魚をはじめとする、海の幸を使った料理が得意だ。
「あたしは、この間ガダメさんが作ってくれた魔界鍋もなかなかだったけどねぇ」
 魔界鍋というのは、動植物性の食用になるモンスターを材料にして作った鍋だ。
 味付けも使われる具材も、その時々によって変わり、決まった形というものが無い。
 要するに、現実世界でいうちゃんこ鍋のようなものである。
「強い身体を作るためには、料理も欠かせない修行の一つだからな。みんなにはその内、私が研究中のコウモリ料理をご馳走して進ぜよう」
「あ、えと……それは遠慮しておきます……」
 そんな他愛もない会話をしながら食事を終えた時、数日ぶりにクリスタルの反応が出たのだった。

「まさか次の目的地がクリーンファクトリーとはね~……」
 道を歩きながら上田が呟いた。
 クリーンファクトリーは、彼らが住んでいる地域の清掃工場であり、彼らの住宅地からは壱の松原とほぼ同じくらいの距離があった。
 加えて小高い山の上にあるため、距離的にはなおさら遠く感じる。
 五郎川団地の横を抜けて、五郎川を渡り、城野春小学校の近くの道を歩いていく。
 時間にして午前中に出発した彼らだったが、例によってモンスターと戦いながらの旅路であるため、球磨野神社に到着した頃には、太陽はすでに真上に来ていた。
「ここで一休みしようか」
「さんせ~い」
 石川の提案に、上田と岡野もうなずいた。
 この神社は、かつて図画の授業で彼らが写生に訪れたことがある場所だった。
 住宅地の中にある、小高い森のなかに存在しているという、少し不思議な神社だ。
 不思議なことに、他がトゥエクラニフ化している中、この神社は比較的外見が変わっておらず、以前のままだった。
 また、モンスターの気配なども感じることが無かった。
 もしかしたら、この辺り一帯が不思議な力で護られているのかも知れない。
 体を休めながら、三人はぼんやりとそんなことを考えていた。
 一時間ほど休んだ後、一同は改めてクリーンファクトリーに向かって出発した。
 すでに道のりは半分ほど来てはいるが、ここから先は坂道が続く。
 幹線道路だった街道を上っている三人の前に、突如素早い動きで黒い影が飛び込んできた。
「こ、こいつは……!」
 それは先日、バピロスで交戦したカマと呪いの鎧だった。
 ただし、今回は呪いの鎧がカマの背中に騎乗しているという状態だったが。
 カマを乗りこなせるようになった合体モンスターで、カマライダーという。
 呪いの鎧のパワーに加え、カマの機動力を併せ持つという、なかなかの強豪モンスターである。
「このやろーっ!」
 石川が切りかかるが、敵は素早い。
 何度も切りかかったが、カマライダーは身軽に攻撃をかわし、その鋭い呪いの剣とカマの両腕で逆に切り付けてくる。
「このっ!」
 岡野が籠手でその攻撃を受け止め、拳を叩き込もうとするが、やはりカマのスピードで、その拳の一撃もかわされてしまった。
「くっそー……。あいつら、別々に襲い掛かってくるより強くなってねぇ!?」
 息を切らせながら、岡野が前方に立ちふさがるカマライダーを睨みつける。
 呪いの鎧が見事にカマを操ることで、カマ単体の時よりも、効率的な動きができるようになっているのだ。
「じゃあ、これならどうだ!」
 上田が前に出て、印を結び呪文を唱える。

 オーゾ・ナル・エー!
(時よ、緩やかになれ!)

「減速呪文・スロー!」

 ヴュヴュヴュヴュヴュ……

 上田の掌から音波のような呪文が飛び出し、それはカマライダーに命中した。
「キッ、キキッ……」
 カマが焦ったような鳴き声を上げる。
 チャリンコナイトの時と同じく、素早い相手のスピードを奪うという戦法だった。
 スピードさえ半減してしまえば、もはや遅るるに足らず。
「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 岡野は地面を蹴って一気に跳躍すると、渾身の気を込めた拳を繰り出す。
「オーラナックル!」

 ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!
 キラッ!

「ギャェェェェェェェェェェッ!」
 気をまとった拳は、カマに正面から命中し、その背中にまたがる呪いの鎧ごと、お空のお星さまに変えたのだった。
 気が付くと、あたりの空には星がいくつが出ていた。
 太陽は西の空に沈みかけ、空も赤く染まっている。
「もう夜か……」
 クリーンファクトリーはほとんど目と鼻の先ではあったが、消耗した状態で突入すれば、返り討ちにあるのは目に見えている。
 ちょうど右手にレストランだった建物があった。
 ここもやはり無人ではあったが、店の中は荒らされた様子もなく、食料もたっぷりと貯蔵されている。
「今夜はここに泊まらせてもらおう」
「そうだね……」
 一同はレストランに入ると、内側から鍵をかける。

 三人は夕食を済ませると、一息ついた。
「あ~、やっぱりサクラちゃんたちの方が料理上手いよね……」
 今回の調理を担当した上田が嘆息しながら言った。
 たまに手伝いなどをしていたとはいえ、それでもやはり、サクラ達には遠く及ばなかった。
「ガダメ呼んで作ってもらえば良かったかな……」
 ちらりと石川の荷物に入っている、ガダメの召喚アイテムを見ながら上田が呟いた。
「そんな用事で呼んだら怒られるって……」
 そんな上田に、思わず苦笑してしまう石川だった。
 なお、後日そのことを聞いたガダメ曰く、
「なんだ、それならそれで呼んでくれても構わなかったのに」
 意外と気さくなガダメなのであった。



~つづく~
 というわけで、今日はタイトル通り、現在執筆中の、小説版『ファイクエII』関連の元ネタやら何やらを書いていきたいと思います。

 ファイクエと言えば、『ファイクエ』の人気投票の締め切りまで二週間を切りましたので、早めにご参加頂ければ有難いです……。m(_ _;)m


 さて、原典の『II』は、以前にも話しましたが、クラスメイトの脱退問題が本格化していたため、まともに完成していませんでした(脱退問題自体は『I』の頃からありましたが)。

 きちんと書いたのが、岡ちゃんともう一人のクラスメイト(小説版のアバンで『大ちゃん』として登場)の最強装備、それから1面、教会、最終面のマップの三つと、敵キャラのページだけでした。


 ちなみに、今回は全部で画像が三つですが、全て右下クリックで元サイズが出ます。

イメージ 1

 今までにも何度か上げましたが、これが『II』のフィールドマップ。
 なんと、自由帳の1ページに収まっています。

 んで、小説版を書くにあたって、このマップの特徴(最終面の周囲に、敵の拠点がある)を見ていてふと考えたのが、

「どうせ現実世界が変異したんなら、こっちに元からある施設をステージにした方が面白くね?」

 といったことでした。
 んで、できたのがコレ。

イメージ 2

 規模としては比べ物にならないほど広大になりましたね(爆)。
 左下は『丘陵地帯』と書いていたのですが、写真では切れてしまいました(汗)。

 実はこの地図、この記事を書く一時間ほど前に書きました(笑)。
 御覧の通り、幹線道路などは略していますが、地形そのものに関しては『実物』に割と忠実に描いてたりします。(^ ^;)


 さて、この「最初からどのステージにも(行こうと思えば)行ける」というシチュエーション、何か思い出さないでしょうか?

 バラしてしまうと、今回の『ファイクエII』、初代のロックマンシリーズ(特に『&フォルテ』)と、SFCの『がんばれゴエモン2』を意識しました(ゴエモンの方は主にキャラの特徴や新規のザコについてですが)。
 テッちゃんの斬撃技なんかも、武器ゲットシステム(というか『X4』のゼロのラーニング)が発想のきっかけになってたり。


 ステージに関して言えば、壱の松原はフリーズマン、次回登場予定のクリーンファクトリーはジャンクマンのステージBGMをイメージしています。


 そういう理由もあって、設定上は各魔衝騎士の強さというのも、実はそんなに差が無かったりします。
 小説の都合上、順番にそれぞれのクリスタルが反応してますが、実際は「どこから攻略してもいい」みたいな……。

 仮にアクションゲームで作ってたら、石川は『全能力標準的、遠距離も近距離も攻撃できるゴエモンタイプ』、上田は『移動速度と耐久力は低いが、遠距離攻撃に優れたエビス丸タイプ』、岡野は『遠距離攻撃は出来ないが、攻撃力・移動力に優れたサスケタイプ』って感じになるかなぁ、と思ったり(サスケはクナイ投げの遠距離攻撃がありますが)。



 さて、ここからは元ネタ関係なしに、ボスについてです。

 原典ではこんな感じで……。

イメージ 3

 一作目に続いて、既存のキャラをナイトタイプにしたものの他、ほとんどが強化型のスライムで、最後にはそれらが合体する、という展開でした(ちなみに小6の時の自由帳のリメイク版では、ボスが全員彼らになったほか、両足になるスライムは統合されて『巨大な下半身を持つスライム』になりました)。

 んで、小説版にするにあたって「さすがにそのままじゃマズイよなぁ……」と考えた結果、生まれたのが魔衝騎士たちでした。
「統一されたモチーフがある」という点では、原典のボススライムに通じる部分もありますね。


 ちなみに左端の列の真ん中にいる『四次元ナイト』は大ちゃん作の中ボスで、彼はそのまま小説版にも登場する予定です(やっぱり詳細な設定はなかったので、キャラ付けは私のオリジナルになりますが)。

 余談ですが、このページに映ってる雑魚キャラも、『スカイメタルクリボー』や『さそりスライム』、『スライム軍1』については、テッちゃんや岡ちゃんが手掛けたものです。


 と言ったところで、今日はこの辺で。
 どうも。ではでは。
イメージ 1

 今晩は、アカサカです。
『TFシージ』で、ジェットロン保安部隊の三人(アシッドストーム、イオンストーム、ノヴァストーム)が商品化だと……!?
 いいぞ、もっとやれ(笑)。

 ともあれ、初めて本当の意味で劇中通りの変形をする保安部隊が商品化されるわけですね。
 アシッドストーム以外の二人の名前が公言されるのも、これが初……?

 さて、前回からスパンが短いですが、明日からまた二連休なので、今日は実家に帰ってきました。

イメージ 2

 夕食はソニックの中で、新発売の豚骨焼ラーメンとほろよいです。


 さて、前回の小説版『ファイクエII』に出た雑魚キャラですが、元デザインがあるものを、この場にアップしておこうと思います。
 なお、それらは右下クリックで元サイズが出ます。

イメージ 3

 まず『腐った柿の実』は再掲になりますが、ファイクエ以前の企画で考えてた敵キャラが元ネタです。
 今回のデザインでは、ドラクエ5のガップリン系モンスターのように、『巨大な実に顔が付いた姿』にしようと思っています。
 ちなみに、五郎川団地に出た暴走パトカーも元デザインはこれです。

イメージ 4

 呪いの鎧はリメイク版『II』で登場しました。
 手に持っているのが呪いの剣と呪いの盾です。

 上の『パチ』共々、デザインはテッちゃんですが、どんなキャラなのかは聞いていなかったので、設定は私が考えました。

イメージ 6

 同じく、リメイク版『II』に登場したカマ。
 右上の『合体スライム』とこいつもテッちゃん製です。

イメージ 7

 さて、この後は先ほどサニーで買ってきたお好み焼きと本搾りで晩酌といきたいと思います。

イメージ 5

 と言ったところで、今日はこの辺で。
 どうも。ではでは。
 という訳で、前回からちょっと間が空きましたが、今日は小説版『ファイクエII』第4話の完結編と行こうと思います。
 なお、前回はコチラ

 それでは、本文スタート!

 三階へと上がって来た三人は、今度は書籍売り場だった場所を横切って屋上へと向かう。
 書籍売り場は、トゥエクラニフの本が並ぶ空間へと変わっていた。
 それはさながら、あのブッコフ図書館を思い出させる。
 歩きながら、それらを横目で見ていた上田がふと立ち止まる。
「トゥエクラニフの本か……。もし手元に置いてたら、世界を元に戻した後も、持っておけるかな……?」
 そう言いながら、棚に並んでいる本を一冊手に取った。
 それを見て、石川と岡野が呆れたように声を掛ける。
「上ちゃん、そんな事してないで、早く先に進もうぜ」
「いいじゃん、ちょっとくらい。どれどれ……」
 何気なく本を開いた上田だが、次の瞬間、その表情が凍り付く。
 なんと、本の中に、巨大な蝶の頭と胴体、それに腹が折りたたまれていたのだ。
 次の瞬間、その蝶の身体が展開して、宙に舞い上がる。
 丁度、本の部分が羽になっていて、パタパタと空中で羽ばたいている。
「ぎぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
 思わず上田が悲鳴を上げ、本を投げ出した。
 本に擬態しているブック蝶というモンスターで、今の上田のように、うかつに自分を手に取った者に襲い掛かってエサにしてしまうのだ。
 完全に不意打ちを食らった格好になった上田はその場に尻餅をつく。
 それを逃さず、ブック蝶は上田に飛びかかった。
 だが、上田がブック蝶の餌食になってしまう事は無かった。
 一瞬早く動いた石川のブレイブセイバーが、ブック蝶の羽をずんばらりんと切り裂いていたのだ。
「全く、だから余計な事するなって言ったのに……」
 パチンと剣を鞘に納めながら、石川が冷ややかに言った。
「ご、ごめん……」
 さすがに上田も、素直に謝るとすまなさそうに頭を掻きながら立ち上がった。

 ブック蝶を退け、先へと進む三人に、さらに潜んでいたモンスター達が襲い掛かった。
 左腕に魔法ライフルを装備したショットアーマー。
 全身が鋭利な刃物で出来た、カマキリとケンタウロスを合わせたような姿のカマ。
 電撃を浴びせてくるパチ。
 両腕が翼に進化したスカイザコ。
 それらを撃退しながら、石川達は屋上へと続く階段を駆け上っていった。
 そしてついに、
「着いた!」
「着いたね!」
 三人は屋上駐車場までたどり着いたのだった。
 屋上は車止めや外灯などが消滅しており、遮蔽物の無い広場のようになっていた。
 三人が上がって来た階段とは丁度反対側に、バピロスの看板が付いた出入口がある。
 その看板からは、緑色の光が漏れていた。
「あれか!」
 看板に向かって、岡野が跳躍した。
「あっ、待って岡ちゃん! 嫌な反応が……」
 上田がその言葉を発するのがあと一瞬早ければ、岡野は無傷で済んだだろう。
 しかし、わずかに遅かった。

 バリバリバリバリバリバリバリバリ!

「しびればびれぶ~~~っ!」
 凄まじい電撃に全身を蹂躙され、岡野が悲鳴を上げた。
 真っ黒こげになった岡野は、その場に落下する。
「ど、どうなってんの……?」
 口から「ケホッ」と煙を吐き出しながら、岡野が呟いた。
「どうやら、クリスタルはバリアで守られてるみたいだね……」
 岡野にヒールをかけながら、上田が看板の方を見据える。
「ええっ、じゃあどうやってクリスタルを手に入れたら……」
 困った顔になる石川に、上田がにっこりわらって言った。
「大丈夫、任せておいて」
 そう言うと、上田は看板によじ登って、呪文を唱えた。

 ノーダ・メル・ジー!
(我が障害を跳ね除けん!)

「障壁無効化呪文・インビジ!」
 その瞬間、上田の全身が淡い光に包まれる。
 そのまま上田は、まるで最初からそんなものは無かったかのように、バリアの中を進んでいった。
 どうやら上田が使ったのは、バリアなど、ダメージを与える結界などを無効化する呪文らしかった。
「やった! 取ったどー!」
 緑色のクリスタル――『風の緑玉』を掲げて、上田が叫んだ。
 その時である。
「ご苦労だったな、異世界の少年たち」
 ゴオッと風を切るような音が響き、巨大な影が瞬時にその場に飛び込んできたのだ。
 猛禽類を連想させる兜をかぶり、槍を持った細身の魔衝騎士。
 スピアーである。
 スピアーは、石川達がクリスタルを手に入れたところを強奪しようと、待ち構えていたのだ。
「我が名は魔衝騎士スピアー! 早速だが、そのクリスタルを渡してもらおうか!」
「や~だよ! 誰が渡すかってんだ!」
 スピアーに対して、石川がアッカンベーをする。
「フン、ならば命ごと頂くまで!」
 スピアーは槍を構えると、三人に向かって突っ込んでくる。
「は、速い!」
 慌てて身をかわした三人のすぐそばを、スピアーは突き抜けていった。
「あいつ、とんでもなく素早いぞ!」
「そうみたいだね」
 急いで上田は、ファストを唱えて自分たちの速度を上げる。
 しかし、
「無駄な事よ! はあっ!」
 空中を縦横無尽に飛翔するスピアーは、三人の攻撃を易々とかわしては攻撃を加えてくる。
「くっそー、じゃあこれならどうだ!」

 ソル・モー・ベール・ズ!
(羽よりも軽くならん!)

「飛翔呪文・フライヤー!」
 上田の身体がフワリと宙に浮かんだ。
 フライヤーで、敵の空中殺法に対抗しようというのだ。
 だが、いくらある程度レベルが戻ってきたとはいえ、そのスピードの差は歴然としていた。
「はっはっは、遅い遅い!」

 ガキィィィィィィィィン!

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 あっさりと蹴りを食らい、上田の身体が地面に投げ出される。
「上ちゃん!」
 石川と岡野が上田に駆け寄って、その身体を抱き起した。
「駄目だぁ……。今のおれのレベルじゃ、空中戦じゃアイツにかなわない」
 ガックリと上田がうなだれる。
「ふっふっふ、実力の差が分かったか!? ならば、次はこれだ!」
 スピアーの口が、素早く呪文を唱える。

 ヴェルク・シー・レイ・ウェン・ザー・ザム!
(風の神よ、その羽根で切り裂け!)

「真空呪文・トルネード!」
 スピアーの掌から中級の竜巻が飛び出し、三人に襲い掛かった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 かまいたちに全身を切り刻まれ、三人が吹き飛ばされる。
「くっ、このままじゃ……」
 石川が悔しそうに、唇を噛んだ。
「テッちゃん! アイツの素早い攻撃に反応出来る仲間を呼ぼう! ガダメを!」
「そうか!」
 上田の声に、石川は懐から、眼球型のアイテムを取り出す。
「頼むぞ、ガダメ!」
 石川が眼球を天高く放り投げた。

 シュパーン!

「タンガンガ~ン!」
 眼球がまばゆい光を放ち、その中からガダメが姿を現す。
「私が相手だ!」
 ガダメはスピアーに向き直ると、得物の爪を構える。
「ふっ、スパイドル軍の三魔爪か。こざかしい!」
 スピアーは槍を構えると、ガダメの横すれすれを猛スピードで通過する。

 ガシィッ!

 すれ違いざまに繰り出された槍の一撃は、ガダメの鎧に鋭い切り傷を生んでいた。
「くっ!」
 その傷を見て、ガダメが舌打ちをする。
「はっはっはっは! 三魔爪など何するものぞ! 敗残兵は大人しく引っ込んでいるがいい!」

 ガキィン! ガキィン! ガキィィィン!

 自信に満ちた笑い声と共に、目にもとまらぬ速さでガダメの鎧に次々と新しい傷が生まれていく。
 そのヒット・アンド・アウェイ戦法に、ガダメも成すすべが無いように思われた。
「ああっ! ガダメ!」
 一方的にやられているガダメを見て、石川達が叫び声をあげた。
 だが、実際のガダメの方はというと、全く逆の感情を抱いていた。
 ガダメは片方しかない目を閉じ、静かに精神を統一して待っていたのだ。
 スピアーを捕らえるチャンスを。
 ガダメの、武術を極めた魔界騎士としての感覚が、迫りくる殺気を敏感に感じ取る。
 それはほとんど野生動物の勘に近いものがあった。
「とどめだ!」
 スピアーがガダメを仕留めようと槍を繰り出すのと、ガダメがカッと目を見開いたのは同時であった。
「そこだ!」

 ガシィィィィィッ!

「なっ、何いっ!?」
 先ほどまでの余裕に満ちた表情とは打って変わって、スピアーの目が驚愕のために見開かれる。
 彼の槍は、その腕ごと、ガダメによってガッチリと掴まれていたのだ。
「はあっ!」

 バキッ!

 気合一閃、ガダメは槍をへし折ると、続けてスピアーに強烈な回し蹴りを見舞った。
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 バキィィィィィィィィィィィィィィィィッ!

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 スピアーのボディが吹っ飛び、地面に勢いよく叩きつけられる。
 そこを逃すガダメではない。
「ガダメ・電磁爪!」
 ガダメは一気にスピアーに駆け寄ると、電撃をまとわせた爪を、スピアーのボディに突き立てた。

 バリバリバリバリバリバリ!

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 またも全身を電撃に貫かれ、スピアーが悲鳴を上げる。
「よぉし! おれもガダメに負けてられないぜ!」
 石川はブレイブセイバーを掲げると、呪文を唱えた。

 ゴッ・ディ・カーミ・レイ!
(神の稲妻よ、裁きを!)

「雷撃呪文・サンダス!」

 ピシャァァァァァァァァァァァァァン!

 上空から稲妻が降り注ぎ、ブレイブセイバーの刃に落ちた。
 石川は稲妻をまとった剣を振りかざすと、そのままガダメ達の方に向かって駆けだす。
「行くぜ、ガダメ!」
「おう!」
 ガダメはなおも電撃を流し、スピアーをその場に釘付けにする。
 激突の瞬間ガダメは身をかわした。
「雷鳴斬!」

 ズバァァァァァァァァァァァァァァァッ!

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!

 電撃をまとったブレイブセイバーがスピアーの機体を横に薙ぎ払い、両断されたスピアーは大爆発を起こした。


「これで四つ目! 残りは二つだ!」
 手に入れた『風の緑玉』を囲んで、石川達が嬉しそうにはしゃぐ。
 ガダメもそんな彼らを見つめて「フッ」と笑みを浮かべると、満足そうに頷いていた。
 果たして、次のクリスタルはどこにあるのか……。



~つづく~

 というわけで、小説版『ファイクエII』も、中間地点に到達してきました。
『Ⅰ』の頃に比べると短いですが、もともと『II』は原典の時点でシリーズ中、一番展開が短い作品でしたし……。

 その分、こないだのように外伝で話数を稼げたらなぁ、とも思っています。(^ ^;)

 ちなみに今回戦った魔衝騎士のスピアーですが、彼との戦いは、ちょっと『ロックマン&フォルテ』版のテングマンを意識してます。

 この辺りの詳細は、また近々裏話・設定紹介記事でも作ろうかと……。

 と言ったところで、今日はこの辺で。
 どうも。ではでは。
 サイトを更新しました。
 今日は『文庫本コーナー』に、小説版『ファイクエII』の第1話を掲載しています。


 という訳で、今日は昨日に続いて小説版『ファイクエII』の第4話・その2といきたいと思います。
 思った以上に新モンスターを登場させることが出来ました。

 ちなみに、今回のシーン、最初に戦う相手はテッちゃん作で、次に出てくるモンスターは某『ドラクエ』のモンスターのパロディだったりします(現在進行中の『ファイクエ』4コマの、クラスメイトのパートとの兼ね合いもあって登場させました)。

 では、本文スタート!

 焼きナスで腹を満たした三人は、建物の南出入口付近の階段を昇って、二階へと進む。
 ちなみに南出入口は鋼鉄製の扉へと姿を変えており、がっちりと鍵がかかっていて出入り不可能になっていた。
 階段を上がった先は、変異前であれば玩具屋が入居していた場所だ。
 その前を通り、衣料品売り場だったエリアに入る。
 一同は、今度は売り場の北側に向かって進んでいた。
 彼らが二階に上がって来た南階段の、三階へ進む部分がシャッターのようなもので塞がれていたからだ。
 衣料品売り場は、無数の武器や鎧などが整然と並んだ、武器屋のような空間へと姿を変えていた。
「へぇ、こりゃ凄いや。もしかしたら、この中に役に立つ武器とかあるかな……」
 しげしげと並んでいる武器を見つめながら、上田が呟く。
 それに対して、錫杖が心外そうに言った。
「マスター、私では不満なのですか?」
「冗談だよ、冗談。おれもテッちゃん達も、武器は一番いいのをもう持ってるわけだし……」
「もう……」
 その時だ。
「危ない!」
「わっ!」
 いきなり石川に突き飛ばされて、上田が床に転がる。
 次の瞬間、彼が立っていた場所には、両刃の剣が深々と突き刺さっていたのだ。
「あ、危なかった……。ありがと、テッちゃん」
 よく見ると、その剣は、鍔の部分に一つの目が付いている。
 その剣は、まるで見えない力で引き抜かれたかのように床から離れると、真っすぐ空中に浮き上がった。
 続けて、
「ケケケケケケケケッ!」
 突如笑い声が響き、棚から凶悪そうな目つきに牙の生えた口が付いた盾が飛び出してきたのだ。
 それぞれ呪いの剣、呪いの盾という、武具が意志を持ったモンスターである。
 普段は普通の武具に擬態し、それを手に取った者の生気を吸い取って、それを自分達の糧にしている。
 さらに、
「ゴォォォォッ!」
「うわっ!」
 響くような唸り声をあげて、全身甲冑がその場に飛び出してきた。
 その兜の奥には鋭い目が光っているが、よく見ると、甲冑と甲冑の隙間には、本来あるはずの肉体が無かった。
 同じく鎧自体に魂が宿ったモンスターで、呪いの鎧という。
「ゴォォォォォォッ!」
 呪いの鎧の雄たけびに呼応するように、呪いの剣と呪いの盾が飛んでいき、その両手に収まった。
「が、合体した……?」
 呆然とその光景を見守っていた岡野が呟く。
 確かに合体と言っても、間違いではないかもしれない。
「ゴォォォォッ!」
 呪いの鎧は剣をかざして、三人に向かって突進してきた。
「このおっ!」
 石川がその一撃をブレイブセイバーで受け止め、周囲に火花が散る。
 その隙を逃さず、岡野が飛び上がって拳を繰り出した。
 だが、呪いの鎧はその動きに反応して、すかさず盾で岡野のパンチを受け止める。
「か、硬てぇ……」
 戦神の籠手のおかげで拳にダメージこそ無かったものの、その盾の防御力は並の物ではなかった。
「あの剣と盾は厄介だな……。まずはあれを何とかしないと」
 苦々しい表情で、岡野が呪いの剣と呪いの盾を見据える。
「ねえ、錫杖。あの剣も盾も、モンスターだって事は生きてるって事だよね?」
「ええ、そうなりますね」
「それなら……。ねぇ、テッちゃん」
「何?」
 石川に対して、上田が何ごとか耳打ちをする。
 それを聞いて、石川も納得したようにうなずいた。
「よし、やってみるか」
 二人は横に並ぶと、先ほどのお化けナスビとの戦いの時のように揃って呪文を唱える。

 ゼー・レイ・ヒーラ・ヴィッセル!

「閃光呪文・バーネイ!」
 再び、二人の掌から帯状の炎が噴き出した。
「ムンッ!」
 呪いの鎧は、盾でそれを受け止める。
 だが、二人は呪文を放ち続けていた。
「頑張って、テッちゃん! おれの狙い通りなら……」

 ゴォォォォォォォォォォォォォッ!

 呪いの鎧は二人から放たれる火炎を盾で防ぎ続けていたが、そうこうしている内に……。

 ジジジ……ジジジジ……

 徐々に、呪いの盾が真っ赤に熱せられてきた。
 そしてついに、
「熱ッチィィィィィィィィィィィィィッ!」
 耐えかねた盾が、思わず呪いの鎧の手から離れて飛び上がったのだ。
「イイッ!?」
 盾を失った呪いの鎧は慌てた声を出すが、もう遅い。

 ゴォォォォォォォォォッ!

 防御手段を失ったところに、二人分のバーネイが直撃する。
「ギェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!」
 呪いの鎧は火だるまになって悲鳴を上げる。
 そこへ、
「今だぁっ!」
 チャンスとばかりに岡野が飛びかかった。
「おらおらおらおらおらおら!」
「グワァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」
 岡野にボコスカ蹴りを入れられ、哀れ、呪いの鎧は鉄クズと化してしまったのだった。
「や、やったね、岡ちゃん」
 息を切らせながら親指を立てる上田に、岡野も親指を立てて返した。


 呪いの鎧を撃退し、一同はさらに奥へと進む。
 現在、彼らがいるのは宝石店だった場所である。
 財宝には世界の別は無いのか、そこは比較的、変異前と変わらない雰囲気だった。
 とはいえ、彼らは小学生。
 まだまだこういった財宝に興味がある訳でもなく、足早に通り過ぎようとした。
 その時だ。
「な、なんだ……?」
 みょうな違和感を感じて石川が立ち止まる。
 ふと振り向くと、上田と岡野の姿がなく、代わりに居たのは、妙にちんちくりんな化物と、鬼から角を取ったような姿の化物だった。
「上ちゃん!? 岡ちゃん!?……さてはお前達が、二人を食ったんだな! 許さん!」
 石川は二体の化け物に向かって剣を構える。
 が、化物たちは戦いを拒否するように首をブンブンと横に振った。
「臆病者め! 二人の仇だ! やっつけてやる!」
 剣を振りかざして化物に飛びかかる石川だったが、突如、その身体がどこから現れたのか巨大な蛇によってぐるぐる巻きにされる。
 その耳元で、何やら怒鳴り声が聞こえた。
 何を言っているのか、聞こえているのに分からない。
「離せ! くそっ……」
 もがく石川だったが、いきなり両頬を連続でひっぱたかれる。

 ビシバシ! ビシバシ!

「痛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
 思わず頬を押さえて叫ぶ石川に、呆れたような声が掛けられた。
「テッちゃん、目ぇ覚めた?」
「へっ?」
 見れば、目の前にいたのは岡野だ。
 よく見ると、自分の身体をぐるぐる巻きにしていたのは錫杖が変形したチェーンだった。
「ど……どうしてたの、おれ?」
「混乱の呪文をかけられたんだよ。パニックって言うの」
 かつてブッコフタウンで学んだ呪文の事を思い出しながら、上田が言う。
 先ほど石川の思考が妙に短絡的になっていたのも、この呪文の作用だったのだ。
「こいつがパニックをかけたんですよ」
 錫杖の杖の部分の下で、見慣れぬモンスターが抑え込まれていた。
 目口のついた袋のような姿で、ヘラヘラと人を馬鹿にしたような笑いを浮かべながら、一息ごとにルビーだのサファイアだの金貨だの真珠だのを噴き上げては吸い込む妙な奴だ。
 長い年月を経る事で、宝石袋に魂が宿った、マッドジュエルというモンスターである。
 石川は頭を振って気を取り直すと、二人に向かって頭を下げた。
「ごめん、二人共。大丈夫?」
「おれ達は何ともないよ」
 二人は肩をすくめる。
 マッドジュエルは、その顔つきの通り何も考えていないのか、束縛から解放されると、えへらえへらと笑いながら、その場から去っていった。
 三人はそれを見送ると、三階へと足を運ぶのであった。



~つづく~